LIFULL Creators Blog

「株式会社LIFULL(ライフル)」の社員によるブログです。

WISS2013参加報告

大坪と申します。12/4-6に高知で行われましたWISS2013に参加しました。2年前WISSについて私はこう書きました。


WISS の正式名称は「インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ」だが、誰もこの名前で呼びはしない。ほとんどの場合「ういっす」と呼ぶ。では WISS とは何か?公式サイト (http://www.wiss.org/WISS2011/) には以下のような文字が並んでいる。

「WISS は、2泊3日の泊り込み形式で、インタラクティブシステムにおける未来を切り拓くような新しいアイディア・技術を議論するワークショップです。この分野において国内でもっともアクティブな学術会議のひとつであり、例年170名以上の参加者が朝から深夜まで活発で意義深い情報交換をおこなっています。」

しかし WISS に参加することの意味は、これだけの文字で語り尽くせるものではない。

via: WISS2011 参加報告 - 株式会社ネクスト エンジニアBlog

WISSがどのような場か?ということについては、上記引用元を参照していただくとして、今年印象的だった点について書きます。

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WISSとはなにか?その答えは人によって違うでしょうが、今年特に記憶に残ったのはプログラム委員長五十嵐教授の

「WISS発表中に行う議論は、参加者全員によるブレーンストーミングのようなものだ」

でした。WISSはあくまでもワークショップ。完成した研究に「権威付け」を与えるような場ではなく、まだ未完成だが興味深いideaに関して議論を行い発展させていく場所である、と。

そう考えれば重要なのは「人と人とのコミュニケーション」である、という結論が導かれるわけです。しかしここに問題が。エンジニアとか「理系」と呼ばれる人の中には、コードやガジェットやコンピュータとコミュニケートすることは得意でも、対人コミュニケーションには二の足を踏んでしまう、という人も多いのではないでしょうか。(少なくとも私はそうです)

しかしそうした「問題」を解決するのもテクノロジーの役割。宿泊を伴うカンファレンスで、食事の時どこに座るかは常に気を使う問題です。周りが知らない人ばかりだと何を喋っていいかわからない。しかし知り合いばかりで固まっていては進歩がない。こうした機会だから有名なあの人とお話したいけど勇気が出ない。

そうした問題に解決策を与えてくれるのが、去年から運用されている「夕食時席ぎめシステム」。事前に「こんな話題について語りたい」「◯◯さんとお話したい」「誰かと、誰かが一緒のテーブルになると面白いんじゃないか」という希望を登録しておけば、できるだけその要望に沿う形で夕食の席が決まる。とはいえ席について最初の数分は

「そもそもなぜこの顔ぶれになったのか」

で皆が悩むことになります。

今年もこのシステムには大変お世話になりました。二日目の晩に同じテーブルになったのは、神戸大学の西田准教授。彼はWISS2006で「遠くの3次元より近くの2次元」という言葉とともに大いに議論をよんだ「萌え木;拡張現実による植物育成支援」の著者であるとともに、夕食席ぎめシステムの開発者でもあります。西田さんからは「萌え」の心について大変興味深い話を聞かせてもらえました。話が盛り上がりすぎて、他の人達が夕食場から立ち去ったあともずっと居残り、ホテルの人たちにご迷惑をお掛けしてしまったのではないかと少し反省しております。

その後のナイトセッションでは、大学での情報系の教育の悩み、社会から期待されていることは何なのか。そもそもSEなる奇妙な職種の人はプログラムを一行も書かなくても、、とかそんな議論ができました。睡眠時間の確保に何よりも情熱を燃やす私が、(私にとっては)夜遅くまで話し込んでいた、というのは稀有の出来事です。

WISSは通常交通の便があまりよくない場所で開催されます。なぜかというと夜に外にでかけてしまうのを防止するためだとか昔聞いたような。今年は珍しく高知城から歩いて数分の便利の良い場所で開催されましたが、夕食後に抜け出してどこかに行こう、などという人はあまりいなかったのではないかと思います。というかもったいない。

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前WISSプログラム委員長の後藤さんは朝一番

「皆さん。おはようございます!」

と凛とした挨拶で眠気を吹き飛ばしてくれました。プログラム委員長は代わりましたがこの「朝の挨拶」はちゃんと受け継がれているようです。その後には様々な分野の発表が続く。参加者は発表の間もチャットシステムを使って議論を行います。

昨今Twitterを利用してカンファレンスの参加者が議論することは珍しくありませんが、WISSのチャットはクローズドシステムということもあり、発現量が桁違いです。使われているのはシンプルなチャットですが、一点だけ特徴が。「これは同意」という発言に対して「同意ボタン」を押すとその発言が大きくなります。また最終日には「見たくない発言を小さくするボタン」が追加で実装されました。
過去には「2次元チャット」など様々なチャットシステムが使われたのですが、結局シンプルなテキストチャット+同意ボタンに収束してきた、というのは大変興味深い点です。

もう一つ発表時の試みで興味深いのは、外部へのインターネット接続制限です。人間はどうしても馴染みのある、居心地のよい環境に閉じこもりがち。発表を聞き質疑応答であるいはチャットで議論を交わすべき、とわかっていてもついFacebookを見てしまう、仕事のメールに返信をしてしまう、あるいは研究室独自のチャットシステムに引きこもってしまう。

そうした問題を解消するため、去年から登壇発表中は外部へインターネット接続ができなくなっています。これに対しては様々な議論が有り、例えばチャットでの議論に先行研究を参照したい、という要望に答えて、接続できる範囲が調整され続けています。

私はこの取り組みに基本的に大賛成しています。今から10年ほど前の「将来予想図」では「だれでもどこでもインターネット」が実現すればすばらしい未来が来る、と脳天気な絵が描かれていました。しかし現実はどうでしょう?どこにいてもSNSにアクセスし続けることが本当に「すばらしい未来」につながっているのでしょうか?誰かと話している時ですら、スマホの画面をいじり続けるのが我々が目指した未来でしょうか?情報技術がもたらす恩恵と問題のバランスに関しては常に問い直し、見直しをかける必要がある。これはそうした取組の一つとして大変意義あるものだと思います。

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全ての日程が終了した後には非公式エクスカーション「沢田マンションツアー」が行われました。沢田マンションとはなにか?Wikipediaによれば


沢田嘉農(さわだ かのう、1927年8月11日-2003年3月16日)は、高知県生まれ。幼少時に雑誌で見た「アパート」の様子に感動して、集合住宅の建築・経営を一生の仕事にすると思い定める。

via: 沢田マンション - Wikipedia

沢田嘉農氏の

「これはすごい。絶対これを作ってやる」

という思いは、WISS参加者の心情にぴったりではないか。マンションを設計したことも、建築した経験がなくてもとにかく作ってしまう。WISSでは常に新しい試みが実践され、かつ研究として発表される。つまり前例がないことが当然なわけです。前例や経験はなくても

「これがあるべきだ」

と考えれば作って発表し、それに対して皆が議論をする。沢田マンション屋上にある手作りクレーンにWISSでデモされていた数々の「手作りデバイス」のイメージを重ねあれこれ考えていました。

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じゃあお前は他人が作ったものについて議論をするためだけに行ったのか、と問われれば「いやデモ発表をしました」と答えます。おそらく日本で一番(世界でも有数かもしれません)UIやUXに関して意見を持っている人達相手にデモをするのは度胸のいることですが、「へやくる!」に実際に触っていただき議論をさせてもらいました。

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物理的高さと言語の壁に挑む筆者


意見をいただけた方に感謝です。さて来年の開催場所はまだアナウンスされていませんが、WISSでの議論に貢献するためにはどんな方法があるか、今から頭を悩ませております。



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