LIFULL Creators Blog

LIFULL Creators Blogとは、株式会社LIFULLの社員が記事を共有するブログです。自分の役立つ経験や知識を広めることで世界をもっとFULLにしていきます。

TechCrunch Tokyo 2013に参加して考えたこと

大坪と申します。先日 TechCrunch Tokyo 2013に参加しました。そこで聞いた内容のうち興味深かった点、そこから考えたことなどについてつらつらと。

一番おもしろかったのはWebサイト構築サービスWeeblyの創業者でCEOのDavid Rusenko氏の講演でした。こちらに講演者の顔写真があります。

この写真の見たままの「とても若い」Rusenko氏。ばりっとスーツを着て立派なビジネスマン、、というよりはがんばってスーツを着ている高校生のようにも見えます。しかし話の内容はとても「高校生」などと言えるものではありませんでした。


学校(Penn State)を辞め、起業してサイトを作ったのはいいが、登録してくれる人はせいぜい二桁の前半。メディアにとりあげられたりすると一時的にユーザが増えるのだけど、そのあと元に戻ってしまう。ずっとそんな状態が続いた。ここらへんの話は自分でサイトを立ち上げたり、アプリをリリースしたことがある人ならば身につまされるはず。

一時期は銀行残高が$100をきった。そこで$650Kの資金調達に成功したけど、それを得るための書類の厚さはものすごかった。

スタートから18ヶ月たったが、ユーザは本格的には増えなかった。しかし20ヶ月で状況が好転しだした。ほっとしたのもつかのま、34ヶ月で貯金がつきかけた。何を払わなくちゃいけないか、何をのばせるかを必死に検討した。

48か月たってでコンスタントにユーザが増え始めた。今はユーザも増え、満足度も高い。(ここから現在成功している様子が語られますが、彼のスピーチの主眼はそこになかったように思います)

そうした経験を語った後に、彼は3つ学んだことを挙げました。

#1 you can't succeed if you quit. 辞めたら成功できないよ

彼らは一年半も鳴かず飛ばずの状態が続き、ユーザが増え始めたのは4年後。それだけにこの言葉には重みがあります。もちろんいつまでも成功しないやり方を続ける人もいるわけですが、確かに辞めたらそこで終わり。
この講演では明確に述べませんでしたが、その間彼らはずっと次の項目にフォーカスしたのだと思います。

#2 Make something people want. 人々が欲しがるものを作れ

ユーザに受け入れられることが一番重要。特許だの他のことはそれに比べれば細かなこと。
この言葉を「当然だ」と思う人はとてもラッキーな人か、働いた経験が浅い人だと思います。「人々が欲しがる物」ではなく「すぐ収益がでるもの」「自分たちが作りたいもの」「お客様に言われたもの」「上司が言ったもの」,,etcを作ることになります。

#3 Don' always listen to advice. アドバイスに従わなくてもいい

この後講演したDisqus 創業者兼CEOのDaniel Ha氏は同じ内容をより詳しく述べていて

advice = limited life experience + overgeneralization

アドバイス=限られた経験+過度の一般化

いろいろな会社で働くと実感することですが「会社」とか「仕事」とか「常識」という言葉が意味するものは本当に様々です。ある会社では賞賛される行為が、別の会社では批難の対象となる。そしてどちらの会社もちゃんと法律を守りそれぞれ成功している。そうした状況を何度も経験します。

そうした経験を通じ、結局人間一人が経験できることというのはそれほど多くはないのではないか?と考えることになります。もしそうなら「他人に対するアドバイス」とは、その人の限られた経験だけを元に全く異なる文化の中で生きているかもしれない人の行動を評価することにほかなりません。

もちろん「普遍の真理」というのは存在し、それには耳を傾ける必要があります。しかし全てのアドバイスはそこまでの普遍性を持つものか?

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Techcrunchから少し離れますが、Googleの元CEO Erick SchmitはGoogleに来た時このように振る舞ったと言われています。

エリック(・シュミット)は新しいゲームをプレーするために、
自分の振る舞いを完全に変えた。エリックほどの成功者であれば、
自分は万事心得ていると考えても許されるだろう。グーグルにやって来て、
おい青二才、俺がやり方を教えてやるよ、と彼が言ったって許されたはずだ。
そうではなく、彼は話を聞いた。そして観察した。
何が起きているのかを見極めた。
自分がこれまでうまくやってきたことのうち、
どの部分がグーグルをより良くするか、見極めたのだ。
(引用元:
文藝春秋|梅田望夫著「ウェブ時代 5つの定理」|ビジョナリーたちの名言リンク集 第5定理「大人の流儀」
 )

おそらくErick Shumitはadviceについての先ほどの式を(明示的かどうかは別として)理解していたのだと想像します。自分の経験をそのままGoogleに持ち込もうとするのではなく、自分が経験した範囲でどのようなことがGoogleに活かせるのか慎重に考えたのだろう、と。

ここがGoogleのCEOと、酒の席でくだまいている「説教オヤジ」(あるいはそれに類する人達)の差異なのだろうと考えるわけです。

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もう一点印象深かったのはAirbnbのOle Ruch氏が言ったこの言葉。

100 people who love you is better than
1 million who kind of like you.

100万人に好かれるより、100人に愛されるべき

熱心なファンが100人いれば、その人達はサービスの良さを自ら伝えてくれる、と。この言葉をなんとなくは理解していても、その実現のために具体的な行動を起こしている会社はあまり多くないと思います。サービスが愛されるとはどういうことなのか。そのために何をして、どのようにその結果を計測するのか。それよりは「アクティブユーザ数」「セッション数」「クリック数」などのlike か loveかわからない数字だけを眺めている企業のほうが多いのではないでしょうか。

などと書いているとだんだん耳が痛くなっているのでこのへんで。

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追伸:同じくTechCrunch Tokyo 2013に参加された方が書いた
ひろゆき’s 意見: 「Strikingly」CEOが「TechCrunch Tokyo」で伝えたかった3つのこと
にも共感を覚えます。StrikinglyのCEOが強調したことは以下の3点でした。

  • Don't quit
  • Build half a product
  • Create super fans
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追伸:本家の記事
「大事なのはメディアに載ることよりも諦めないで続けること」Weebly創業者が語る成功の3つの秘訣 | TechCrunch Japan
が出ました。