LIFULL Creators Blog

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iPhoneアプリの視覚障がい者向けユーザビリティ、アプリを使いやすくする大切な3つのポイント

池田です。

今回は、iPhoneアプリの視覚障がい者向けユーザビリティ、アプリを使いやすくする3つのポイントについて書きたいと思います。

ユーザビリティのお話をする前に、視覚障がい者がどうやってiPhoneを使われているか、について少し触れます。

視覚障がい者の多くは、iOS付属のスクリーンリーダー「VoiceOver」を活用し、iPhoneの利用をされています。

初めて「スクリーンリーダー」という言葉を耳にした方もおられるかもしれませんので、少し解説しますと、スクリーンリーダーは、画面上の内容を、音声にして読み上げてくれるソフトウェアです。
画面上の項目にカーソルが当たり、そのカーソルが当たっている項目の内容を音声で読み上げてくれます。
カーソルが当たってるのがテキストなら、そのテキストの内容を。
リンクなら、リンクの文言と、それが「リンク」であるという情報を読み上げます。

視覚障がい者の多くはこのスクリーンリーダー、iPhoneではVoiceOverを活用して、音声で画面の情報を把握し、使われています。

それでは、VoiceOver利用時のユーザビリティ、アプリが使いやすくなる大切なポイントについて、書いていきたいと思います。

「HOME'Sアクセシビリティ対応版」で気をつけている大切なポイントは、大きく分けて3つです。

  1. VoiceOverに合わせた操作性の考慮
  2. 画面操作時の迷いをできるだけ軽減する
  3. 必要な情報を漏れなく音声で伝える

この3つについて、解説していきます。

VoiceOverに合わせた操作性の考慮

VoiceOverが有効の環境下では、無効の場合と大きく操作が異なってきます。
VoiceOver有効時には基本的な操作として、カーソルの移動と、項目の選択があります。

カーソルの移動は、画面上を上下左右にスワイプする、または、画面上の項目をタッチすることで行います。
項目の選択は、画面上をダブルタップすることで行います。

この操作性を考慮し、画面上の項目の配置、項目の読み上げ設定などをすることが大切です。

「HOME'Sアクセシビリティ対応版」の画面画像を示しながら、ご説明していきたいと思います。

VoiceOver利用環境下では、画像上の番号で示すように、まず画面の左上の要素が選択、そこから左から右、右端まで行ったら一つ下の行の左端の要素が選択。

のような動きで、カーソルを移動していきます。
つまり、左上から順々に一つ一つの要素の内容を音声で聞き、理解しながら画面操作を進めていきます。


こういった操作を考慮し、この画面では、画面の機能として配置されている「検索トップに戻る」ボタンの配置を画面上部にしています。

なぜ上部かと言いますと、画面上部にボタンを配置することで、画面の内容に入る前にボタンにカーソルが合うため、画面内にどんな機能があるか、事前に把握することができるためです。

また、画面上部にある方が、VoiceOver環境下の特殊な操作(二本指で上にスワイプすると最初の項目にフォーカスが合う)を用いることでアクセスしやすくなるという利点もあります。

画面操作時の迷いをできるだけ軽減する

VoiceOver利用時の操作は、画面上を触ることにより触った位置にある項目が選択されることもあり、画面上の操作をしている際、ちょっと触れた位置にカーソルが行ってしまうなど、意図しない動作が起こる場合があります。

意図しない動作が起こると、画面上の理解に迷いが生じます。
そこで、迷いが生じないように、また、生じた場合の迷いの軽減をすることが大切です。

こちらの画面では、画面右上に画面の使い方を調べるボタンを設置しています。
こういったボタンを設置することで、今何をする画面にいるんだ?どんな操作をすればいいんだ?

といった迷いが生じた際、ここを見ることで少しでも迷いを軽減できるようになります。

必要な情報を漏れなく音声で伝える

VoiceOver利用時には、画面上の音声読み上げが重要となってきます。
まずは画面上の各要素をテキスト情報で伝える必要がありますが、それだけではなく、「画面上の状態」を伝えることも大切です。

この画面は、データを取得中の読み込み画面です。
開かれたタイミングで読み込みが行われ、その後、読み込みが完了すると内容が表示されます。
画面の状態の変化は、ユーザの操作によって行われる訳ではなく、自動で行われます。

こうした自動的な画面の変化を音声で伝えていくことも大切です。

「HOME'Sアクセシビリティ対応版」では読み込みが開始したタイミング、読み込みが完了したタイミングで、音声で「読み込み中」「読み込み完了」と状況を伝えるようにしています。


このように、VoiceOverの操作性、ユーザの迷いの軽減、適切な音声フィードバックを行っていくとアプリは視覚障がいを持たれた方にとってとても使いやすいものとなります。
VoiceOverは視覚障がい者をサポートする素晴らしい機能ですし、VoiceOver利用を考慮したアプリが増えていくことで、視覚障がいを持たれた方の生活もどんどん便利になっていくと思います。

今回は、VoiceOverの詳細、実際の開発など、詳しい部分をお伝えできていませんが、今後より詳しい部分についてもお伝えしていこうと思います。