こんにちは。おうちハッカーの石田です。
最近、IoTが流行っており、様々なデバイスが発表されています。今年のMaker Faireでは、去年と比べて圧倒的にIoTデバイスが多く、これからクラウドファンディングに出そうとしているチームも多々ありました。
それらIoTデバイスを制御するためのプラットフォームが次々と発表されています。
最近発表されたスマートホーム・IoTプラットフォーム
Yahooが発表したMyThingsや pr.yahoo.co.jp
Nestを買収していよいよ発表されたGoogleのWorks with Nest jp.techcrunch.com
ネット接続型デバイスの企画開発を行うStroboのIoTプラットフォーム thebridge.jp
など、私が知る限り3つのプラットフォームが発表されました。
多すぎるプラットフォーム
もともと私がよく使っているIFTTTや、iOSのHomeKit, 日本の家電メーカーなどが推進しているECHONET Liteなどがあり、かなり混沌としてきました。
プラットフォームがたくさんでることは、スマートホームやIoTが賑わい、認知度向上の観点からは良いかもしれませんが、ディベロッパー、ユーザーにとっては好ましくありません。
IoTデバイスのディベロッパーにとっては、どのプラットフォームに入ればいいのか悩みのタネになります。そのデバイスが売れるかどうかは属したプラットフォームの成長に大きく関わってきます。複数のプラットフォームに対応することもありますが、その分開発コストやライセンス料がかさむでしょう。
ユーザーにとっては、複数のプラットフォームを使うのは面倒なので、どれかに統一したいと考えるでしょうから、どれを選べばいいのか分からなくなります。先細りのプラットフォームのものを揃えてしまうと後々大変です。
そこで、そんなディベロッパーとユーザーのために、それぞれのプラットフォームの勢力図と、特性をまとめてみました。かなり私の独断と偏見が混ざっていますので、お気をつけください。
勢力図
それぞれの特徴
プラットフォーム | コアデバイス | アシスタント | 自作デバイス対応 | 会社 |
---|---|---|---|---|
IFTTT | スマートフォン | なし | Makaer Channel | IFTTT |
HomeKit | iOSデバイス | Siri | なし | Apple |
Works with Nest | Nest/Android | Google Now | IFTTT経由 | |
Amazon Echo | Amazon Echo | Alexa | API / IFTTT | Amazon |
SmartThings | スマートフォン | なし | おそらくなし | Samsung |
MyThings | スマートフォン | なし | IDCFチャンネル | Yahoo! Japan |
ECHONET Lite | スマートフォン | 無し | なし | 日本の家電・通信メーカー |
Strobo IoT Suite | スマートフォン | なし | なし | Strobo |
それぞれのプラットフォームを比較するうえで重要な軸が3つあります。
1つ目は、家に置くコアデバイスがあるかどうか、です。中心となるデバイスがいつも起動しており、家や人の状況を把握できることは、より賢いオートメーションを実現するうえで重要です。
また、中心的なデバイスが普及すれば、それと連携するプラットフォームのものを揃えようということになりやすいです。
2つ目は、アシスタントの有無です。最近バズってる「人工知能」とも言えるでしょう。ユーザーが自分でアクションを設定するのではなく、アシスタントが推薦してくれたアクションで使えるのであれば、一般ユーザーにも受け入れやすいと思います。
3つ目は、自作デバイスに対応しているか、です。おうちハッカーに限らず、ArduinoやEdisonを用いてデバイスを作り、連携させたい人は少なくないと思います。こういった自作デバイスを製品化するものもあるため、将来の対応機種の広がりが期待できます。
それぞれをおうちハッカーの視点から
IFTTT
現状ではIFTTTが最も使えます。既存デバイス・サービスとの連携の多さもさることながら、Web APIが公開されているデバイスであればMaker Channelで使えるのがとても便利です。またAmazon EchoとGoogleと連携していくそうで、かなり信頼感があります。 唯一の不満は、条件設定がシンプルすぎることです。IFTTTの名前の由来の、"If This then that" のThis(トリガー)とThat(アクション)を選ぶだけというシンプルさが売りなのですが、トリガーをもう少し複雑に設定したくなります。例えば、「午後7時以降に自宅の半径300mに入ったら」などです。
MyThings
先日発表されたMyThingsはIFTTTとほぼ同様のサービスと見受けられますが、IDCFチャンネルという独自のクラウドでサーバー構築を支援してくれる仕組みがあり、自作のデバイスを連携させたいユーザ向けに伸びてくることが期待されます。IDCFチャンネルを始めるときには3000円分のクーポンが付いており、月500円から始めることができるそうです。しかしながらMakerFaireTokyoでYahooの人に話を伺ったところ、きちんとIoTデバイスを運用するには500円のサーバーだと厳しいとのことです。
Amazon Echo
Amazon Echoは既にアメリカで販売されている音声認識アシスタント付きスピーカで、正確にはプラットフォームではありません。しかしSiriのようなアシスタント機能があり、これを中心に音声認識をトリガーとして他のデバイスと連携できることから、表に追加しました。APIを公開しており、他のデバイスとの連携を強化していこうとしています。Amazonは1億ドルの支援ファンドでAmazon Echoのエコシステムを築いていく予定です。まだ日本では発売されていませんが、かなり期待しています。
HomeKit
1年前に発表されたiOSの規格ですが、まだほとんど対応製品が発売されておらず、これからのプラットフォームです。自作デバイスの連携はAppleの性質的にまだまだ先になり、当面はAppleの認証を受けた会社のデバイスのみになりそうな印象です。 またSiriと連動して、家電の操作ができることが強みになりそうです。iPhoneの使用ログからユーザーの行動を予測して、IFTTTのように自分で設定せずとも、心地よい家電操作を行うことが考えられます。しかしAppleはユーザーのプライバシーに対して最大限配慮してアシスタント機能を作っていく方針なので、ユーザーを特定するような情報は使いません。従って真反対の方針のGoogleのそれよりも利便性が落ちるかと思われます。
Work with Nest
Nestを買収したときから、そのうち出すだろうと思っていましたが、ようやく発表されました。まだ発表されたばかりですが、既にNestと連携するデバイスが多々あり、さらに海外の有力メーカーが名乗りを上げています。
最も便利であろう機能が、GoogleNowとの連携です。メールや位置情報、検索履歴などの大量の情報を用いて、設定いらずの強力なオートメーション化が可能になると思います。
またIFTTTと連携しているので、自作デバイス連携も可能です。
強力なコアデバイス、GoogleNowとNestの人工知能、IFTTT経由での自作デバイス連携と、非常に優れており、プラットフォームの中ではWork with Nestが抜きんでていると感じます。
懸念点として、欧米ではサーモスタットは一般的ですが、日本ではそうではなく、Nestの普及に時間がかかりそうなことです。家の室温を一括管理するものなので、家を建て替えたりリフォームしないと付ける機会がありません。
日本の家のエネルギー管理系は、政府がHEMSを普及させようとしているため、今後どうなっていくのでしょうか。
ECHONET Lite
HEMSと連携する日本の規格ですが、電力可視化システムや給湯器、エアコン、冷蔵庫といった、なかなか買い換えないが暮らしの中心の家電との連携が中心です。 現在のところ、ユーザー、ディベロッパーに自由はなく、経産省・メーカー主体で進められているので、家電の買い替えや家を建てるスパンでゆっくりと浸透していきそうです。
Strobo IoT Suit
最近発表されたばかりのプラットフォームで、IoTデバイスの開発を容易に行える開発キットやSDKの色が強いです。今後は他社製品との連携を強め、プラットフォームとして展開していく模様です。 正直なところ、他の強力なプラットフォームと比較してメリットが小さく感じます。一部の新しいIoTデバイス専用となる気がします。
まとめ
ポテンシャルとしては、Google-IFTTT組が最も高いと思いますが、調べてみて、それぞれ特色があり、将来的には棲み分けして共存する可能性もあると感じました。
最後に
おうちハッカーとしてディベロッパーに求めるのは、最低限IFTTTで操作できるWebAPIを公開することです。そうすれば、他のプラットフォームでもIFTTTを介して使えるようになります。 そして、これ以上プラットフォームを増やさないで欲しいです。プラットフォームは勝てば莫大な儲けに繋がるのは分かりますが、それよりも既存のプラットフォームでより簡単に設定し連携できるデバイスを作ってくださると嬉しいです。