LIFULL Creators Blog

「株式会社LIFULL(ライフル)」の社員によるブログです。

海外赴任から帰ってきたエンジニアマネージャーの学びと取り組み

こんにちは、LIFULLのエンジニアマネージャーをやっております。河津です。

私は、2015年の6月〜2018年の6月までの丸3年間をLIFULLグループの会社であるTrovitに常駐しスペインで過ごしました。

帰国してすぐに、スペインでのエンジニアの働き方を書いてみようかとも思っていたのですが書けずに2年が経ってしまいました。

ですが、2年ほど日本での働き方も再度経験したことで、改めて当時の経験で今役に立っているなと感じる部分があったので、筆(キーボード)を取りました。

また、スペインに出向の経緯やスペイン常駐時の苦労話などはいつか紹介できたらと思います。 20201001091658 ※Trovitは企業統合により現在はLIFULL CONNECTとなっています。

世界最大規模の不動産・車・仕事のアグリゲーションサービスを提供するスペインの会社です。

組織と働き方

チームの役割が明確!

私が所属していたころのチームはエンジニアだけでなく多職種で一つチームを編成しており、担当分野が、アプリケーション、検索エンジン、インフラ、パーサ、SEO、有料集客にチームが分かれていました。

それぞれのチームでのミッションが明確になっており、会社の戦略に明確に紐付いていました。

例えば、検索エンジンとしてSolrを利用しているのですが、クエリ構築を容易にするプラグインを実装することで検索エンジンを使う全てのアプリケーションの開発効率を改善させ、バグの発生率を下げていました。インフラチームでは、Kubernetesを利用目的とした基盤の移行(AWSからGCPへ)を3ヶ月程度で完遂させ可用性を高いものにしていました。

※例はほんの一部です

学び

チームにまで落とし込まれたミッションが明確であることが組織全体の生産性向上に繋がり会社の成長につながる。

日本での取り組み

戦略に則したチーム編成とそのチーム毎にメインミッションを明確に決め、やることへのフォーカスができるようにしました。うまく回っていると実感できるシーンもあれば、フォーカスすべき内容と業務の幅との調整など改善の余地はまだあると感じています。

全社で閲覧するデータの統一と可視化が徹底的!

ミッションが明確でも、状況を正確にモニタリングしたり、施策に対する結果を定量的に見ないと成否の判定が正しくできないという考えから、データの可視化を徹底的に行っていました。

例えば、SEOチームでは日々のセッション数とキーワード数との相関だったり、パーサチームはポータルサイトからパースしたデータの数と品質を可視化して、社内の誰でも見れる状態にしていました。

この社内の誰もが統一されたデータを見るということがとても重要で、統一されたデータを見ることで状況を共通して認識することができ、そこからの質疑応答が社内コミュニケーションを活発にしていました。

ある時、CEOが「個人分析の資料で語るな、分析資料は共通してみることができるものに統一すること」と言っていたのはこのためだったんだなと、改めて思いました。 どのデータを正とするのかといった、無駄な時間と労力も生まれなかったと思います。

学び

全社で統一した指標を見ること、それが全社に公開されていることが無駄な時間を発生させず、意識統一にもつながる。

日本での取り組み

すでにLIFULLでも、会社全体で見る数値を統一させる動きを取っていました。 今まで、定期的に参照するKPIのデータ形式やドキュメントがバラバラだったものが一定統一され見やすくなっています。

また、エンジニアチームでは技術負債の解消を目的としたCodeclimateを利用したコード品質の可視化を進めていっており、リファクタリングへの意識が高まっています。 こちらは、エンジニア全体での動きがすでに取られており、私の思惑にも繋がりました。 www.lifull.blog www.lifull.blog

常にデプロイされる環境!

テストまで完了したプロダクトは随時デプロイされる仕組みになっていました。

プロダクション前の環境では常に品質を担保するテストケースが走り続けていて、リリース可能な状態になったものは逐次デプロイされます。デプロイ後にバグが発生したら、一つ前のタグに戻すだけでロールバックができる仕組みとなっており、エンジニアは常に開発する事に集中できる仕組みが用意されていました。当時の私にはQAが活躍していたのは斬新でした。

学び

出荷可能な状態のプロダクトをすぐに世に出せる仕組みになっている事が、リリース日までのほんの数日ではあるが出荷を待機させるという事との小さな差を生み、その積み重ねが1年を通すと大きな差になる。

日本での取り組み

赴任する前は週に2回程度のリリース日が用意されていたのですが、今では毎日リリースできる仕組みがすでに構築されています。こちらも、赴任している間に仕組み化されていたので、LIFULLでもリリース頻度を課題と捉え着実に改善が進んでいると実感しています。

採用と人事

学んで来たことと仕事のつながりを重視する!

エンジニアの中にも様々な職種があると思いますが、職種と大学での専攻が紐付いている人ばかりでした。中には、必要となるスキルを大学や専門学校で改めて学び直す人や、専門性をより高めていった結果、働きながら大学で講師をしている人もいました。

採用の面でも、大学での専攻や業務での実績が無い人が採用されることはほぼありません。 一般的に日本企業では大学での専攻と関係なくポテンシャル採用を行っていますが、ポテンシャル採用という言葉自体がありませんでした。

技術マネージャーが「特定の理工系大学の新卒を取ることが非常に重要で、卒業したての人材こそ即戦力として期待ができる!」と力強く言っていたのを覚えています。

またよくある話ですが、知識があり素晴らしい結果も出しているのに謙遜するということもありませんでした。あるのは謙遜ではなく、仕事の結果の分析と共有といった一つコミュニケーションのステップが省略されているイメージを受けました。これはエンジニアに限った話ではなく文化的なものかもしれません。

学び

同士として働いてもらうエンジニアを選考する採用に妥協は許されない。

Betterではなく、Bestを採用することが大事である。

日本での取り組み

LIFULLのビジョンに共感していただける方を採用することは最重要ですが、社内での活躍が期待できるか、一方社内でも活躍の場をしっかりと提供できるかを一つ一つ丁寧に確かめながら採用活動を進めさせていただいております。 hrmos.co

雇用形態が異なる!

スペインでは雇用契約上、解雇は普通に行われTrovitでも努力しているしていない如何に関わらず、結果が出ていなければ解雇されます。うちの会社にはフィットしなかったので、もっと活躍できるところへ送り出してあげる。それが会社にも当人にも幸せな結果をもたらす、という考えのもと解雇を選択します。

ある日、昼食から帰ってくると、とあるデスクの荷物がまるっとなくなっていることがありました。週末飲みに行く約束をしていたので、余計にびっくりしたのは覚えています。

赴任当初は日本の感覚が強く、解雇や退職と社員が辞めてしまう事にかなり敏感になっていたのですが、徐々にヨーロッパのエンジニア市場だったり転職事情を知り、過度にネガティブに捉えず次のステージを応援するマインドになりました。今でもその感覚は持っています。

学び

市場のニーズを捉え、スキルを磨いていくことが自分の市場価値も上げていくこととなる。

日本での取り組み

今期からエンジニアは職能別の組織となり「強い個人、最高のチームとなることで、価値創造を加速させ続ける」というビジョンを掲げ、以前よりも勉強会やナレッジ共有会の開催頻度を上げたり、個人でのスキルアップの発表の場を設けたりと、より高度に求められる市場ニーズに応えられるエンジニアの育成に取り組んでいます。 www.lifull.blog

人生で大事なものはお金よりも時間!時間を大事にする文化

オンとオフの切り替えが上手い!

オンとオフの切り替えを当たり前のようにしていて、すごく上手いなと感じました。

勤務終了後は近くのバーへ行くのが恒例でしたが、仕事の不平不満を話すのではなく、次にチャレンジしてみたい技術だったり、今プライベートで気になって触っている技術について熱く語る人ばかりでした。

Kubernetesがいかにイケているのかをブルーチーズを片手に赤ワインを飲みながら語っていたインフラエンジニアを今でも忘れられません。社内のメンバーだけでなく、エンジニアの友人を呼んでディスカッションが始まることもありました。

仕事の話から一旦離れるが技術の話は楽しくてついやってしまうという、根っからのエンジニアが多かったように思います。

また、サッカーの話になると地元のチームの話や日本から移籍してきた選手の話で盛り上がったりと、仕事を忘れて時事ネタで盛り上がることも多々ありました。

現地の会社対抗のリーガ(フットサルの大会のようなもの)が一定期間で開催されるのですが、仕事の後のちょっとした運動ってレベルではなく毎回みんな本気なので、参加しては毎回死ぬんじゃないかと思っていました。

学び

仕事とプライベートの切り替えや時間の使い方の上手さがストレス解消に繋がり、翌日の業務へのモチベーションを保つ秘訣。

日本での取り組み

直近のコロナ禍ではコミュニケーションのとり方が大きく変わりました。特にオンラインでのコミュニケーションは業務の内容のみになってしまいがちです。そこで特定の時間は気軽に話せる部屋を開放してみたり、あえて雑談しかしない時間を取るなど、切り替えの時間を取るようにしました。これが意外とストレス解消につながったり、メリハリをつける事につながったりと良い影響を及ぼしたと実感しています。これらは、メンバーが自ら実践してくれました。

ミーティングのセッティングも命がけ!

人の時間を無駄に搾取してはならないという文化がありました。

なにか提案をするとき、特に今あるものを否定するには否定するに至る事実(データ)がなければ、ただの個人の意見であるという考えがありました。

ある日、「このMTGは本当に無駄な時間をすごした!」と激怒され部屋から出ていかれたこともあります。

今は反省をするとともに、ミーティングの本当のあり方を学んだように思えます。自分が人の時間を搾取するということを真剣に考えるきっかけにもなりました。

今思えば、ミーティングではみんな「I think」ではなく、「It says」と言っていたのを思い出します。

学び

ミーティングの要不要は必ず検討し、行う場合でも必要最小限で行う。

必ず客観的に判断できる事実やデータを用いて語り、無駄に時間を浪費させない。

日本での取り組み

効果的なミーティングを実践するために色々検討し実行しました。

  • ミーティングは極力削る
  • 1時間ではなく30分でできるものは30分で終わらせる
  • 早く終われば、終わり次第解散する
  • チャットに書けば終わることは書いて終わらせる
  • 書く方が時間がかかるなら、さくっと5分程度の会話する
  • 必ず一つの指標をみんなで見て協議する

などです。 オンラインでのコミュニケーションが必須となったなか、ミーティングが必要な場面は増え、なかなか難しいところはありましたが、今後も継続して改善していきたいと思います。

金曜の夕方をみんなで楽しむ!

金曜の夕方は「All Hands」という、各グループが自分たちの取り組みを共有する会が開催されていました。

ただの共有会が開催されるのではなく、会場ではビールとおつまみが用意されており、みんなフロアで足を伸ばして座りながらリラックスして聞いていました。そんなフランクな会なので、質問もどんどん飛び交い、聞く方も為になるし、プレゼンする側もテンションが上がるといった楽しい会だったのを覚えています。

また時には、聞いているメンバーがフォローに入ったりして、全社での一体感もすごく醸成できていたと思います。

私も一度、LIFULLでの取り組みである「クリエイターの日」を共有しましたが、多くの質問をもらえたり、うちでもやってみようかなと言ってもらえ、大きな達成感を得られたのを覚えています。

ただ、この「All Hands」への準備は運営チームとかなり綿密にやりました。一見フランクに適当に集まって午後の一時を楽しく過ごそうよ!って感じなんですが、全員で集まる意味をしっかり捉え、参加者にとって意義のある時間にすることへのこだわりはかなり強烈でした。

学び

みんなで同じ時間を過ごすことも大事、その時間を有効活用することが、より洗練された組織づくりにもつながる。

日本での取り組み

LIFULLでは以前から、チームビルディングの一貫で一つの事にみんなで取り組むという仕組みはありました。その多くは物理的に人と人が接し合うことで実現していたのですが、今回オンラインで実現させることが必要となってきました。

そこで今回、エンジニアのユニット総会を特定のトーク内容について会話をする会にしてみるといった新しい試みを行いました。異なるグループのメンバー達が、同じ時間を過ごしながら意見を交わすことで、より相互理解と繋がりを強くすることができたと思います。 www.lifull.blog

まとめ

帰任して2年経ち、スペインでの経験と学びからエンジニアマネージャーとして何を考えどう動いたのかを書き綴ってみました。

私の場合は海外の会社に転職したようなものだったので、言葉の違いに始まり、文化のギャップやマインドの違いで苦労はしました。しかし、それを乗り越えることで新しい学びを得られ、日本での取り組みに繋がったと感じています。

LIFULLのエンジニアには海外での経験も積んでみてほしいと思います。今の状況下、現地に行くことは難しくなっている一方、オンラインでのコミュニケーションは格段に取りやすくなっています。海外のカンファレンスなどオンラインで開催されているものは多数あるので、アンテナを広げて様々な価値観や取り組みを学び、日々の仕事に活かしてもらえたらと思います。

最後に

学びからの取り組みを共有させていただきましたが、実際に「取り組み」をしてくれたのは、他でもないエンジニアのみんなです。大きな変化への適応や、大きな事を一人で成し遂げるのは至難の技です。メンバーひとりひとりの協力なくしては成し得ません。

これからも、エンジニアがOne Teamとして活躍できる場を創り、共に切磋琢磨して成長していける組織を創って行きたいと思います。