こんにちは。クオリティアーキテクトグループ(以下、QAG)でQAエンジニアをしている片野です。
QAGでは横断組織として自動テストやツール開発、プロセス改善などのしくみ作りに取り組んでいます。 今回は、横断QA組織が開発組織の品質に関する課題を見つけるための取り組みについて紹介します。
QA組織の紹介
LIFULLでは設計や実装を行っている開発エンジニアがテストも行っています。
ですので、QAエンジニアのプロジェクトの関わり方としては、下記のような開発者への支援活動を行っています。
- プロジェクト支援
- テスト計画サポート
- 自動テスト相談
- テストのお悩み支援
- 提供ツール・データ
- 開発プロセス・そのたの活動
- Bucky Shift-Left
- 探索的テスト実施・導入支援
組織の成り立ちについてはこちらの記事をご覧ください。
https://www.lifull.blog/entry/2019/12/15/000000
背景
横断QA組織の立場としては次のような課題があります。
- 社内には、さまざまな開発や保守のプロジェクトが同時に動いているので、QAGがすべてのプロジェクトへ均等な支援を行えない
- 各プロジェクト・組織の品質面で困っている事や改善したい事がQAGから見えにくい
- 各プロジェクトの困りごとは相談を受けてから気付くことが多く、QAGは受け身になることが多い
やったこと
上記に書いた課題を解消するために、下記の3つの活動を実施しました。
QAサークル
QAサークルは、QAGと開発チームのコミュニケーションの機会を増やす事を目的に、チームや個人でたまっている品質に関する課題やモヤモヤとした問題点の意見交換を行う場です。
開催形式はQAGがコンテンツを作成して発表する講義形式やみんなで意見を交わすディスカッション形式など、毎回試行錯誤しています。
※過去に実施した探索的テストをテーマにした会の目次、チャーター作成ワークの結果
- 実施データ
- 開催回数:3回
- 開催頻度:3ヵ月に1回(1時間)程度
- 延べ参加人数:26人
- 開催テーマ:テスト全般、テスト仕様書の共通テンプレート、探索的テスト
- 狙い
- QAエンジニアと開発者が定期的にコミュニケーションをとり、相談がしやすい下地づくりをする
- QAGについて知ってもらう
- QAGが行っている施策の普及
- 工夫している点
- タイムリーな話題をテーマに選定することや地道な広報活動を行った
- 開催テーマに関する良い事例を持っている方にインタビューし、QAサークル内で事例紹介をした
- ワークで実際に手を動かしてもらい理解度を高めた
- 効果
- 当初は想定していなかったエンジニア以外(企画職)の方の参加
- 少しずつ着実に、個別の相談や支援につながっている
参加者はイベントを通して、下記のような学びや気付きがあったそうです。
- 今まで知らなかった新しいテスト手法(探索的テスト)について理解が深まった
- 困ったらQAに相談しようという心持ちを作れた
※探索的テストについては別の機会にブログを書いてみたいと思います。
QA通信
Slackに最近のQAGの取り組みについての紹介記事を毎月投稿しています。
- 実施データ
- 投稿回数::16回
- 開催頻度:1ヵ月に1回
- 狙い
- QAGの認知度向上
- QAGへのサポート依頼数増加
- 工夫している点
- Block Kit Builderでフォーマットを統一し可読性を向上させた
- 絵文字を効果的に使用することで、書き手の感情を読み手に伝えるとともに情報をコンパクトにまとめて伝達した
- 効果
- 投稿した記事を読んだ人が、同僚に読むことを薦めているslackメッセージが複数見受けられ、QAGや開発したツールの認知度向上に寄与した
- QAGのツールやお知らせを気軽に発表できる場になった
QA探検隊
Slackに投稿された品質に関するキーワード(たとえば「バグ」、「テスト」)を自動で定期的に検索し、困っている人がいないかを探しました。
- 実施データ
- 実施期間:2024/1〜2024/5
- 不定期に実行(社内イベント開催直後など)
- 狙い
- slack上に流れている品質課題に関する情報を能動的に取得する
- 工夫している点
- 社内で開発したツールを用いてslack api経由でエゴサーチを実施した
- 膨大な検索結果を効率的に仕分けするしくみを作成した
- 効果
- テスト仕様書の共通テンプレートについての困り事を素早く拾う事ができ、改修や機能追加の優先度付けに役立った
- 各組織のSlackチャンネル毎のキーワード発話量を可視化でき、プロジェクト支援先を決める一助となった
下記の理由のため、現在QA探検隊は定期的な活動をしていません。
- 膨大な検索結果を効率的に仕分けするしくみを作成しましたが、完全な自動化ができていなく、手作業の部分もあるため費用対効果が見合わなかったため。
まとめ
横断QA組織が開発組織の品質に関する課題を見つけるための取り組みについて紹介しました。
活動を通して、課題を見つけるためには定期的に開発組織とコミュニケーションを取ることと、QAGが何をしているかを定期的に広報することが大切だと感じました。
今後も今回説明した活動やブログなどを活用して、QAGが実施している事を広めていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。