LIFULL Creators Blog

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【AIが判定】その推薦文、大丈夫? 推薦文AI監視で見えた「刺さる」と「違反」の境界線

こんにちは。LIFULL HOME'S の CRM領域で開発を担当しているソンです。

LIFULL HOME'Sでは、賃貸の一部レコメンドメールに掲載するレコメンド物件に対して、LLMを活用した「推薦文」を自動生成しています。これは「なぜこの物件がお勧めなのか」を自然な日本語で伝える短い文章です。物件情報をもとにユーザーごとの関心に寄り添った説明を添え、物件理解の促進とメール経由の詳細閲覧率向上を目指しています。

この記事では、その推薦文の品質を守るために私たちが構築した「AI監視システム」にフォーカスし、どのような基準で文章をチェックしているのか、実際の検出事例を交えて紹介します。

1. 導入:AIが書く文章は「便利」のその先へ

AIによる推薦文の自動生成は、私たちのサービスにおいて欠かせない存在になりました。ただ、AIが生成する文章にはコンプライアンス上のリスクもあります。

実はこの施策の立ち上げ当初から、推薦文の品質監視は重要な課題として認識していました。LLMの特性上、意図しない表現が生成される可能性は避けられません。初期段階では生成ログをもとに人が目視でチェックしていましたが、確認できる量には限界があり、監視の精度にも課題がありました。

そこで私たちは、監視の自動化に取り組みました。2026年4月現在、「推薦文不正文言AI監視システム」が日々稼働しています。このシステムは、日中のコアタイムに定期的に生成された全文章を精査しています。私たちの監視システムは、ルールベースの用語スクリーニングとLLMによる文脈判定を組み合わせた構成へと進化しています(詳細は6章で解説します)。

この監視システムが、どうやって問題のある表現を検出しているのか。そのしくみと、私たちが目指す「言葉の質」について、技術と規制の両面から紹介していきます。

2. 根拠のない「充実」は、ただのノイズ

監視システムのログを分析して最も多く検出されるのが、「根拠なし表現」による「警告」です。「充実した設備」や「買い物便利」といった言葉は、つい多用されがちな表現です。しかし、監視システムにとってこれらは、具体的な裏付けのない不十分な表現に過ぎません。たとえ近くにスーパーがあったとしても、単に「便利」と書くだけでは不十分なのです。

監視システムの指摘例

  • 「買い物便利」:近隣にコンビニ(徒歩800m以内)はあるが、もう少し具体的な説明が望ましい。
  • 「充実した設備」:具体的設備名が明記されていないため根拠不足。
  • 「日当たり良好」:方角や採光面などの理由が併記されていない。

読み手であるユーザーは、形容詞ではなく「事実」を求めています。監視システムに定義された「OK例」は、そのままプロフェッショナルの記述作法となります。

  • NG : 買い物便利
  • OK : スーパー(100m)近隣のため買い物便利
  • NG : 設備充実
  • OK : 設備充実(床暖房/追い焚き/WIC)

「近さ」や「多さ」を主観で語るのではなく、数値や施設名という「根拠」を添える。結局、具体的な根拠があるかどうかが品質の分かれ目です。

3. 「日本一」や「最高」が法に触れる理由

不動産広告には、明確に「違反」と判定される表現もあります。それは「不動産公正競争規約」によって厳格に定められた、最上級表現や完全性を意味する用語の使用です。

「日本一」「No.1」「最高級」「完全」「絶対」。これらの言葉は、客観的かつ調査にもとづいた具体的なデータがない限り、消費者に誤認を与える不当表示とみなされます。この規約にもとづくルールが監視システムに設定されており、過度な装飾は瞬時に「違反」と判定されます。

また、意外な落とし穴が「新築」という言葉の扱いです。

「違反」判定の事例

  • 「新築複数」:『新築』と表記できるのは建築後1年未満かつ未入居の物件に限られるため、複数物件をまとめて『新築』と謳うことは規約違反のリスクが高くなる。また、新築と呼ぶための根拠説明も欠如している。
  • 「格安」「破格」:射幸心をあおる表現として排除対象。
  • 「早い者勝ち」:不当なあおりとして排除対象。

監視システムを通じて、こうした表現がブランドの信頼を損なうリスクをあらためて実感しました。

4. わずか12文字の攻防:128〜140文字のルール

推薦文の品質を左右するのは、言葉の意味だけではありません。システムには、非常に厳格な「文字数」という物理的制約が課せられています。私たちの監視基準では、推奨範囲は「128〜140文字」と極めてタイトに設定されています。 1文字でも超えれば警告が出ます。141文字になった瞬間、「文字数違反」として検出されます。

監視ログの記録

  • 「推薦文が141文字と140文字を超えています」
  • 「183文字で推奨範囲128〜140文字を超過」

なぜ、ここまで厳格なのでしょうか。それは、ユーザーのデバイス上でストレスなく読める「情報の密度」を、表示幅やスクロール量をもとに社内で検討した結果、この範囲が最適と判断したためです。ユーザーが読みやすい情報量を検討した結果、この範囲に落ち着きました。

5. AIが「空気を読む」:スペック羅列を超えた文章へ

「3LDK、南向き、駅徒歩5分」。こうした事実の羅列は、間違いではありませんが、優れた推薦文としては評価されません。監視システムには「スペック羅列」という警告項目が存在し、情報の羅列に終始した文章を「品質が低い」と判定します。監視システムは単なるキーワード検索ではなく、「自然な日本語で物件の魅力を伝えているか」という文章としての自然さも判定しています。

品質基準の定義

  • 自然な日本語で物件の魅力を伝える文章であること。
  • スペック羅列のみは不可。

たとえば、条件だけを並べて最後に「ゆとりある毎日を実現します」と付け加えただけの文章は、「説明が薄く、スペック羅列寄り」と判定されます。

求められているのは、そのスペックが実際の生活にどう役立つのか、という視点です。物件データを生活のイメージに変換する力こそが、私たち書き手が意識すべき役割だと考えています。

6. 2段構えの監視:システムのしくみ

この品質管理を支えているのが、LLMを活用した「推薦文不正文言AI監視システム」です。本システムは、コアタイムに定期的なチェックを実行します。

AI判定の前段階では、まず「ルールベース」による完全禁止用語のスクリーニングが行われ、それを潜り抜けた文章のニュアンスにリスクがないかをAIが判定します。特筆すべきは、AIに対して高い推論精度を求める設定を施している点です。これにより、AIは単なる文字のマッチングを超え、文脈を踏まえて、表面的には問題なさそうな表現のリスクも判定します。

システムの3つの強み

  • 即時性の担保 : 違反検出時は、即座に担当者へ通知され、即応可能です。
  • 高度な推論 : LLMの深い推論能力により、「一見よさそうだが実は根拠があいまいな表現」も見逃しません。
  • 継続的改善 : 定期的に結果がまとめられ、組織全体のコンプライアンス意識の向上にもつながっています。

このしくみによって、人的チェックでは見落としがちな表現もカバーできます。常に高い水準で広告品質を維持する。これが私たちの目指す広告品質管理の姿です。

7. 結び:誠実な言葉こそ、選ばれるマーケティング

AI監視システムが導き出した「安全」な文章。それは、けっして個性を殺した無機質なものではありません。むしろ、誇張を取り除いた、物件本来の価値を伝える言葉です。

結局のところ、監視システムが問題なしと判定する文章とは、「嘘がなく、具体的で、相手の人生に寄り添った誠実な文章」にほかなりません。どれだけテクノロジーが進化しても、 信頼の土台になるのは、事実にもとづいた言葉の積み重ねです。

AIを活用して推薦文を運用する私たちは、常に自らこう問いかけるべきでしょう。「あなたのその言葉に、読み手が信頼できる根拠はありますか?」その問いへの誠実さが、ユーザーから信頼されるサービスへとつながると考えています。

この監視システムはまだ導入したばかりですが、すでに大きな収穫がありました。監視結果を分析する中で、既存の推薦文生成プロンプトや監視用プロンプトそのものにも改善の余地があると見えてきたのです。監視システムは品質を守るだけでなく、私たち自身のしくみを見直すきっかけにもなっていると実感しています。

最後に、LIFULLではともに成長していける仲間を募集しています。よろしければこちらのページもご覧ください。

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