LIFULL Creators Blog

「株式会社LIFULL(ライフル)」の社員によるブログです。

フロントエンドエンジニアが組織横断のアクセシビリティ専門部署を立ち上げた

フロントエンドエンジニアの嶌田です。2022 年 4 月からアクセシビリティ推進グループ(以下推進グループ)に在籍しています。今回はこの新しくできた部署について簡単に紹介します。また、会社や私がアクセシビリティに取り組む理由を語ってみようと思います。

弊社プロダクトのアクセシビリティを推進する取り組みは、これまでも有志が集まるワーキンググループの形で存在していました。ワーキンググループについては以前に Ltech という社外イベントで紹介しました。今年度からの新設部署はワーキンググループの流れを汲んでおり、推進活動に本腰を入れてコミットしていくために新設された部署です。

参考:Ltech#14 「LIFULL HOME'S」のフロントエンドについて語り尽くします! 開催レポート - LIFULL Creators Blog

推進グループは上長1名に、ほぼフルタイムでアクセシビリティにコミットするメンバー2名で構成されています。

アクセシビリティ推進グループの取り組み

推進グループのミッションは大きく2つに分かれます。プロダクト改善活動と、啓蒙・教育活動です。

プロダクト改善活動は、いまある LIFULL のプロダクトに手を入れてアクセシビリティ品質を改善していく活動です。現在の LIFULL のプロダクトには、キーボードやスクリーンリーダーで利用しづらい箇所が数多くあります。アクセシビリティを念頭に設計・実装されていなかったためです。そのため、このような問題を検出し、修正していく活動をしています。また、事業部やプロジェクトチームから持ち込まれる相談に乗ったり、デザインや実装のレビューを実施したりしています。

もう一方の啓蒙・教育活動は、プロダクト開発においてアクセシビリティが担保されるしくみを作っていく取り組みです。アクセシビリティの必要性や実践方法をレクチャーしたり、ガイドラインを策定し開発プロセスに組み込むといったことをしています。

このプロダクト改善活動と啓蒙・教育活動はどちらも重要と考えています。プロダクト改善活動に偏っては、新しくアクセシブルでないプロダクトが生み出されていく流れをとめられません。反対に啓蒙活動に偏っては、既存のプロダクトがはらむ問題点を解消しないまま先送りし続けることになってしまいます。

LIFULL とアクセシビリティ

専門部署を作る程度にはアクセシビリティに本気の姿勢をみせている弊社ですが、そもそも LIFULL はなぜアクセシビリティに取り組むのでしょうか?

LIFULL は「あらゆるLIFEを、FULLに。」というメッセージを対外的に発信しています。世界中のあらゆる人々の人生を、安心と喜びで満たそうというメッセージです。「あらゆる」という言葉に込められているのは文字通り、能力や属性によって分け隔てすることのない、すべての人というニュアンスです。くわえて ACTION FOR ALLLIFULL STORIES など、住宅弱者を支援するサービスや、多様な価値観や暮らしを応援するメディアを運営してします。

このようなサービスを展開する会社として、アクセシビリティに取り組まない理由はありません。

私とアクセシビリティ

ここからは私のごく個人的な話になります。筆者は現在、企業でアクセシビリティを牽引していく役割を務めていますが、キャリアはこれまで一貫してウェブのフロントエンドを担当するエンジニアでした。私はいったいどういう経緯でアクセシビリティに興味をもち、何が楽しくて今の業務に携わっているのでしょうか?

アクセシブルな UI との出会い

私のアクセシビリティへの興味は、元をたどってみるとネイティブ UI に対する劣等感が根底にあったように思います。OS やブラウザーが備えている UI がキーボードによる操作性や一貫性・堅牢性を備えていることは肌で感じていました。くわえて、キーボードショートカットを駆使することで、マウスの時よりずっと効率的な作業もできる。一方で、自分が実装するウェブの UI は、見た目だけそれらしく見せたハリボテを作っているような違和感を持っていました。中身が伴っていなくて、ネイティブ UI に対して劣ったものを作っている…と感じていたのです。

ところがウェブにも、堅牢でキーボード操作に対応した UI が存在していることに気付きました。Adobe AIR や Dojo Toolkit、jQuery UI といったプロダクトへのあこがれを通じて、WAI-ARIA というものの存在を知りました。ウェブアプリケーションをアクセシブルにするための仕様です。WAI-ARIA に準拠した実装をすれば、ウェブでもキーボード操作に対応した UI を実装できるのだと知りました。「私が作りたいものの指針はここにあったんだ」と思いました。

いつもよいものを作りたい

デザインと実装が別々の価値基準で作られる制作体制にあまり満足していませんでした。「デザインを実装で再現する」とか、逆に「実装都合をデザイナーに飲んでもらう」ような作り方にモヤモヤしていたのです。一見、お互いの価値観をすり合わせをしていて素敵な制作チームだとも思えます。しかし相手が主張してくる内容によっては必ずしも同意できることばかりではなかったりして、最終的に納得のいかないまま渋々ながら一方が折れる…といったことにもなりかねません。

キーボード操作を実装したいという私の思いも、プロジェクトの目的と照らしたら「エンジニアの自己満足」と一蹴されてしまっていたかもしれません。

デザインと実装とは、そういう緊張関係の間に成り立つものではなかったはずです。何かお互いが「これはよい」と思えるものを共有しながらものづくりができればよいのに…と思っていました。

アクセシビリティに向き合い始めてから、アクセシビリティが自分の求めていたものじゃないかと思えるようになりました。アクセシビリティこそが、ウェブサイトを作るためにデザイナーと実装者とで共有できる品質の指針や価値基準になりうるのではないか…と。

アクセシビリティを中心に据えると、私があこがれていたキーボード操作できる UI も大手を振って実装できるようになるし、私の劣等感もぬぐい去られるような気がしました。

ウェブへの恩返し

小学校のころに初めてホームページを作って以来、ゲームのコミュニティサイトの運営などを通じていろいろな人と出会い、貴重な経験もしてきました。「ウェブにおける自分」の人格は自分の中でも今も大きな比重を占めています。多感な時期に私の創作意欲の受け皿になってくれたことも、今ウェブの仕事をして食べていけていることも、感謝してもしきれないくらいの恩がウェブにはあるのです。

自分にはこれしかできないから…というのはまあそうですが、私はウェブに恩返しをしていきたい。では、どういう形で恩返しができるか? と考えた結果、自分が関われる範囲において、ウェブがウェブらしくあるように貢献していきたいと考えるようになりました。

「ウェブらしさ」とはなんでしょうか? 十人十色答えは違いそうですが、アクセシビリティこそがウェブらしさなのだと私は考えます。ウェブサイトを作るとき、アクセシブルにしてくれというウェブの声が聞こえてくる気がするのです。

そんなこんながあり、私にアクセシビリティを推進していく気概ができあがってきたようです。

LIFULL はアクセシビリティ「やっていき」

2年前に入社した時から細々と社内でアクセシビリティを推し進めてきました。ワーキンググループでいくつか実績を積み上げて、100 人以上のエンジニア組織の中に運よく専門部署が立ち上がるまでになりました。

この実績は明らかに私だけのものではありません。私が入社する前にもアクセシビリティを重要視してデザイン・実装をしていたメンバーがいます。旗振り役としての経験の乏しい私の背中を押してくれたメンバーや上長がいます。ほかの会社で同じく推進役をしている先輩諸氏、そのアドバイスや実績、アウトプットにも大いに助けられています。そもそも、LIFULL という会社が社是として「利他主義」を掲げている会社であることも推進しやすさに大きく影響しているのだと思います。

しかも、私たちの活動はまだまだこれからというところです。コミュニティから受け取ったものをしっかりと成果にかえつつ、私もまたコミュニティに還元できるように努めてゆこうとあらためて感じています。

LIFULL はプロダクトのアクセシビリティを重要と考えています。継続的にプロダクトや制作プロセスを改善してまいります。今後も LIFULL のアクセシビリティにご期待ください。

🙂


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