LIFULL Creators Blog

LIFULL Creators Blogとは、株式会社LIFULLの社員が記事を共有するブログです。自分の役立つ経験や知識を広めることで世界をもっとFULLにしていきます。

社内向けAI botの運用で学んだ技術コミュニケーションのコツ

プロダクトエンジニアリング部の二宮です。

私は有料集客のデータを扱う部署の仕事をしながら、サイドプロジェクトとしてKEELチームとともにkeelaiという社内のAIチャットボットの開発にも関わっています。keelaiについての詳細は相原がこちらの記事で解説しています。

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keelaiはSlack上で動くAIチャットボットを含んだ "汎用AI(仮)" 技術スタックで、LIFULLグループのSlackユーザーおよそ1000人程度の中で月間200人以上に利用して頂いてます。これはけっこうな成功例と言っていいんじゃないでしょうか?

結果的にですが、keelaiの社内広報やサポートを担当することが多くありました。また私はエンジニア向けのQ&Aフォーラムを開設していること、ベトナム拠点との交流会の企画にも関わっていることから、社内の技術広報やコミュニケーションについて考えることが多くありました。そこで培ったノウハウや考えも含めて共有します。

大きく考える

いきなり精神論だし、社内広報に限らない話ですが、新しい基盤を作るのに大事なことだと思ってます。

keelaiが大きなユーザー数を獲得できた一番大きな要素は、相原の記事にもある通り「子会社や業務委託の人々にも使ってもらおう!」と大きく考えて狙っていき、そのために必要なこと(例えば予算や権限管理等)を整備していったことだと思ってます。

私達の汎用AI(仮) keelaiは多言語対応や契約形態やグループ会社ごとのFunction Callingのアクセス制御を経て、現在は国内外のグループ会社全体で利用されています。

社内知識からの回答やWebブラウジングはもちろんのこと、画像・音声に関する操作や社内システムとのインテグレーション、WebAssemblyでサンドボックス化された安全なCode Interpreter相当の機能も準備中です。

特に、keelaiの開発チームではけっこう冗談みたいな会話をしていて、「200人に使ってもらったし、次は2000人だな(※社員数超えてる)」っていう話から「じゃあ子会社も入れなきゃ(※実際には入れても足りない)」っていう実際にできる話に繋がっていきました。

私たちはついつい現在の延長上で考えてしまうのですが、他の人に面白いそうだと思ってもらうためには、今までやってきていない話の中から「意外といけそうじゃない?」っていう面白いアイデアを実現していることが大事じゃないかと思います。これはベトナム拠点との交流会でも共通していたと思います。

面白いアイデアを探索するために、みんなで心にイケイケ社長を宿しましょう😎

次の行動を喚起する

広報は主にSlackで行っています。ただ、ハンガーフライトの告知でも感じているのですが、かなり「あのイベント面白そうだけどいつやるの?え?先週終わった?」みたいな話をされてしまうことも多いです。

  • それなりの高頻度(週に1~2回程度)で投稿する
  • 何らかの行動を喚起する
    • 具体的には「カレンダーの予定追加」「プロダクトを触ってもらう」など

keelaiでは「showcaseの記事を読んでもらう」ことを置いて、週に数回程度で次のような投稿を雑談チャットに投稿しています。

この「行動を喚起する」という話は、『システム運用アンチパターン』の「コミュニケーションを適切に定義する」という章の内容が参考になっています。以前、読書会をしたログがこちらにあり、他の項目も役立つはずです。

こういうとき私たちは「こんなにたくさんの機能を実装したぞ!すげーだろ!」みたいなことを言いがちですが、むしろ読者に次にどんな行動を取ってほしいのか考えて、ちょっと軽めの文章で誘ってみるのがコツなんじゃないかと思ってます。

keelaiはSlack Botとして実装されており、単に「次は君たちも使ってみてくれ!」とも言いやすいし、一般的なChatGPTの利用方法も集めやすいため、その点では楽です☺️

継続的に接点を持つ

定期的な広報をすることにはもう一つ意味があって、広報を見た人からの問い合わせが来るきっかけになることです。なんとなく質問や提案をするタイミングを逃したまま忘れてしまっている人も多いと思っていて、その相手の周知にもなります。

実際に「keelaiのAPIがあれば、CIで呼び出して社内情報も加味した自動コードレビューに使いたい」という話が来て案内したり、「ドキュメントを見ても導入方法が分からない」と言われドキュメントの不備をアップデートしたりしています。

keelaiはサポート用の公式のSlackチャンネルも用意していますが、実際にはこういうカジュアルな問い合わせのほうが多いです。また、交流会の運営としては、逆にマネージャー職の社内キャリア相談の広報に対して「一緒にマネージャーの座談会をやりましょう」と私から提案して実現したこともあります。

継続的に接点を持つことと、思いつきのアイデアを投稿しやすい雰囲気を作ることが、後から考えるとけっこう面白いコラボレーションに繋がっていたと感じてます。

まとめ

特にエンジニアには、いい仕事をしていて他の人の役に立つモノを作っているはずなのに、本来のプロダクトやアイデアの持つポテンシャルを発揮できていない人も多いんじゃないかと感じることがあります。この記事がそういう人がうまくコラボレーションを広げられるきっかけになると嬉しいです。

また、少し話が逸れるので書きませんでしたが、keelaiの開発に関わっていて、こうした基盤を作ることによって、同じ会社の仲間にベストプラクティスやいいアイデアを広げることに貢献できると感じています。こちらについては「LLM活用促進に向けたPlatform Engineeringからのアプローチ」を読んでください。

最後に、LIFULLにはこうした新しいアイデアをどんどん議論していく文化の素地があるし、まだまだ発展できると思ってます。こうした文化を作っていきたいエンジニアは、ぜひ求人やカジュアル面談のページも見て頂けると嬉しいです。

hrmos.co

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