LIFULL Creators Blog

LIFULL Creators Blogとは、株式会社LIFULLの社員が記事を共有するブログです。自分の役立つ経験や知識を広めることで世界をもっとFULLにしていきます。

「IDRユーザフォーラム2023」参加報告

こんにちは、グループデータ本部データサイエンスグループの清田です。

LIFULLでは、不動産や住まい探しに関する研究の活性化や、AI・情報学分野での人材育成への貢献を目的として、学術研究者向けにLIFULL HOME’Sデータセットを2015年から提供しています。

日本における情報学の中核研究機関である国立情報学研究所(NII)が運営する情報学研究データリポジトリ(IDR)の枠組みを活用した取り組みです。

現在では、国内外の150を超える大学・公的研究機関の研究室にデータを提供し、数多くの研究成果も生まれています。

本記事では、2023年12月11日に開催されたIDRユーザフォーラムの様子をお伝えします。

IDRユーザフォーラムとは

情報学研究データリポジトリ(IDR)は、民間企業などが保有しているさまざまなデータ資源のうち、学術研究にも有用なものを受け入れ、適切な契約のもとに研究者に配布することを目的に運営されています。

現在では、LIFULLを含む18社もの企業が、延べ1600以上の研究室にデータセットを提供しています。

外部発表された研究成果の総数は約1500件に達しており、情報学の研究の活性化に大きく貢献していることが見て取れます。

引用元: 大山 敬三, 大須賀 智子, 国立情報学研究所における研究用データセットの共同利用, 情報管理, 2016, 59 巻, 2 号, p. 105-112, 公開日 2016/05/01, Online ISSN 1347-1597, Print ISSN 0021-7298, https://doi.org/10.1241/johokanri.59.105

IDRにおける特筆すべき取り組みの一つとして、データセットを提供する企業と利用者が一堂に会し、直接意見交換できる場としての「IDRユーザフォーラム」があります。

2016年に初めて開催され、今回で8回目を迎えます。

2016年のIDRユーザフォーラムの様子については、集会報告記事を書いていますので、もしよろしければ以下の記事もご覧ください。

doi.org

会場の様子

2020年初頭からのコロナ禍により、直近の3回(2020、2021、2022)はオンラインで行われたIDRユーザフォーラムですが、今回は4年ぶりに現地会場での開催が実現しました。

会場となった国立情報学研究所(NII)の建物

今回は、最後に現地開催された2019年を大幅に上回る150名もの現地参加者を得て、大変盛況でした。

各社のデータセットを利用した研究発表26件、研究アイディア発表21件がポスター発表として行われ、多数の学生さんや指導教員の先生方、企業の担当者が活発な議論を通じた交流を持ちました。

発表プログラムについては以下のページをご覧ください。

情報学研究データリポジトリ ユーザフォーラム

「住まい」に関連した研究発表の紹介

LIFULL HOME’Sのデータを利用した住まいに関する研究発表について、いくつか紹介したいと思います。

関西学院大学の福地さんらによるポスター研究発表「地域特性推定のための地物カテゴリを利用した自己教師あり学習」は、LIFULL HOME’Sまちむすびのデータを活用し、地図画像をCNNモデルにより学習して地域特性を推定しようとするチャレンジングな研究です。

ポスター資料が公開されていますので、ぜひご覧ください。

この発表は実行委員の方々からも高い評価を受け、日本データベース学会特別賞が授与されました。おめでとうございます!

山口大学の石本さんらによる研究アイディア発表「部屋数を与えられた住居間取りのCGANに基づく自動生成」(ポスター資料)は、LIFULL HOME’Sの高精細度間取り図画像データを用い、指定した部屋数の間取り画像を自動生成するという、大変興味深い研究でした。

生成AIは、主にチャットボットや絵画生成で実用の域に達しつつありますが、今後は、間取りのデザインや設計図の自動生成など、建築やリノベーションの分野でも急速に技術が発展することが期待されます。

兵庫県立大の中山さんらによる研究アイディア発表「不動産情報探索のためのVRインタフェースにおける情報との物理的距離によるLoD制御」(ポスター資料)は、「賃料」「駅との近さ」「間取り」「築年数」などのさまざまな属性を、VR空間内で可視化することで比較を容易にしようというアイディアです。デモシステムの実演も行われ、多くの参加者が熱心に質問していました。

LIFULL HOME’Sデータセットのこれから

LIFULL HOME’Sデータセットは公開から8年が経過し、「LIFULL HOME’S 3D間取り」など、サービス価値の向上につながる大きな成果を生み出しています。

2022年度末時点で、171件もの研究成果が公開されています。

一方で、「より新しいデータを利用したい」というお声も頂戴しているところです。

ステークホルダーの方々の理解を得つつ、データセットの更新や拡充も検討していますので、ご期待ください。

LIFULLでは、共に成長しながら働く仲間を募っております。

現在、以下の職種を募集しております。LIFULL HOME’Sデータセットなど、豊富な研究開発資源を活かしながら、多様な社会課題の解決に向けた研究開発やプロダクト創出に取り組んでみませんか?

多くの方々のご応募をお待ちしております!