CTOの 長沢 です。
この記事はLIFULLアドベントカレンダーの11日目です。
現在LIFULL(単体)は正社員160名超のエンジニアの組織になっており、それぞれ特徴的で素晴らしいメンバーが沢山在籍しています! そのような組織の中で、CTOとしてエンジニア組織や戦略を考えることが多いのですが、 今回は、マネジメントしてきた中で、経験から学び今現在も意識している育成に関することを抜粋して書こうと思います。
CTOとしてやってきたことなどの取り組みは、 昨年のAWSJさんが主催のCTO Night&Dayイベントで登壇させていただいた時の資料なども合わせてご覧いただければと嬉しいです!
www.slideshare.net
こちらのような話は、また、別記事でまとめます。
主にマネージャー・リーダー向けの観点が多いですが、そうでない方々も一人ひとりが意識すれば動きやすくなるかな、と思います。
キャリアデザインに沿った育成がとても大事
これは、言わずもがな、ですね。 会社が 組織として継続的に成果を出し、競争に勝ち抜いていく上で、個々のメンバーが成長して活躍することは必要不可欠 だと思っています。
特に、各個人のキャリアデザインに沿わせながら育成をしていくことは内発的動機観点、モチベーションの観点でも非常に大切です。
別の話になりますが、中途採用ももちろん非常に強力な方法です。 LIFULLでは採用基準を、大切な順に
- ビジョンフィット
- カルチャーフィット
- ポテンシャル
- スキルフィット
と全職種共通で定めています。
評価は育成
評価は育成において、非常に大切なポイントです。 (会社によっては評価制度において、人事評価=育成のためのフィードバックと切り分けられている場合もあると思いますが、その場合は「フィードバック」を指す)
被評価者の成長につながる評価をすることが重要です。
例えばとある行動や仕事に対して、たとえば、◎(非常に良くできている)、◯(できている)、△(課題がある)の3段階の評価があったとします。
△を付けた場合は、その理由は説明するとおもいます。 ところが◯を付けたときに、なぜ◎でないか、という理由を説明をする人は少ないのです。 3段階評価において1番上ではないので、◯だった人にも◎になるためにどういう事ができれば良いか、を示してあげること は育成上重要であると考えています。
また、成果に対する期待値のすり合わせが半年毎の「評価」のタイミングのみだと効果は薄いので、 日々のコミュニケーションや、場合によっては1on1などでこまめにすり合わせすることは大事だと思っています。
メンバーのキャリアデザインを知る
メンバーのキャリアデザインは育成において非常に重要なポイントです。
育成は個人のキャリアデザインを軸とし、会社の業務で求められている部分を重ねながら実際の仕事に落としていくと、 それを実行するメンバーのモチベーションとなり、会社にとっても良いことであると実感しています。
マネージャーは個人のキャリアデザインと業務を重ねながら、時には新しい業務(もちろん事業価値との接続があるもの)を考えて提案したりします。 また、もし個人のキャリアデザインがまだふわっとしていれば、一緒に形作っていきます。
キャリアにおける3年後、5年後のイメージは、できれば「具体的なロールモデル」がいたほうが、レベル感についてマネージャーとメンバー間で共通の認識が持てるのでおすすめです。
しかし、経験上実際にロールモデルが明確にいる人は少なく「ぴったりハマる人はいない」という回答が多いようなので、「例えば〇〇のスキルでは誰くらいー」とか、「〇〇という行動してる人って例えばー」というように、一つ一つ掘り下げると意外と出てきたりします。
逆に、「ロールモデルが明確にいる」という人の場合も、「その人のどの部分が良いと思っているのか」を詳細に聞かないと間違った理解になる可能性があるので注意が必要です。
私は以下のようなことをよく聞いています。
あなたの目指す3年後5年後のイメージに対しては、現在の状態から、 * 足りないスキルがあるか?あるならそれははなにか? * 足りないスキルがないなら、何が課題か?単純に時間軸の問題か? * 足りないスキルを身につける行動がイメージできているか? キャリアにおける、3年後、5年後のイメージに対し、 * それぞれのロールモデル、今の時点でこれくらいの人という具体的イメージがあるか?
うまく回答が出てこないようなら一緒に考えます。むしろ、最初からうまく描けている人は、ごく僅かです。
それと個人的に注意したいのは、 3年後のイメージに対し、スキルと言うより 経験 がたりない、というのはよく聞きますが、 「経験」の指すところを掘り下げれば「意識しているスキルの要素」があると思っています。
例えば「大規模システムの開発、運用の経験」ですと、”トラフィックが日で〇億PVなインフラ”なのか”100人で開発しても耐えうるアーキテクチャ、開発の仕組み、チーム分け”なのか、などです。
「経験」という言葉は、やって初めて必要なものが見えてくる、ような部分があるとは思うので、 極力、スキルレベルまで落とし込んで「足りないのはなにか」をお互いに意識できると成長への明確な足がかりになります。
また、注意したいのは、各個人のキャリアデザインにおいて理解なしに「え、それは無理じゃない?」のように否定しないことです。 人の可能性は開けていますし目指さなければ何事も得られないのは事実なので、以下のそれをうまくできるかをまずは一緒に考えます。
「動機の源」を知る
その人が、どんな時にモチベーションが上がるのか。 表層として出てきた、相手の「意見」や「行動」の背景を、その人の経験・価値観・その時の感情などの面から掘り下げて知るというようなものです。
私は各メンバーとの最初の1on1で 「今までで一番楽しかった仕事ってどんなものですか?」 と聞いています。
出てきた具体的な経験について、
「それはどういうところが楽しかったのですか?」とか、「〇〇プロジェクトもそれと似てるとは思うけど、それとの違いはどういうところだったのですか?」
など、さらに掘り下げて立体的に理解していきます。
それによりどんな仕事がどういう理由で楽しかったのか、などを知ることができます。
ここで大切なのは、どういう仕事を楽しいと思うか、どんなことに価値を感じるのか、というところです。 それを知ることによって、その後、近い仕事をアサインすることができ、楽しく高いパフォーマンスを出すことができます。
過去には
「あ、すごい苦労していたり大変そうだな、と思ってみてたけど、このメンバーにとって、あの仕事は楽しかったんだ!」
というような事を知ることができて、その後の仕事を任せることに役立った経験があります。
適切に情報を伝える
組織において、何かを決めたときに決めたことをメンバーに伝えるときの伝え方は非常に重要です。 伝わり方次第でメンバーのモチベーションが大きく変わります。
その時、メンバーからいろいろな質問が飛んできます。 言わないように気を付けている言葉は以下のようなものです。
- どうしてだろうね?
- よくわからないんだよね。
- 私もよく知らない。
- 私は本当はそう思わないんだけどね。/私は反対なんだけどね
- 上の人がこう言ってたから
などです。
上記のような言葉を多用してしまうと、組織全体に不信感が蔓延してしまいます。
「自分がメンバーに自信をもって説明できる(=自分が理解できる)まで、問う・考える」のが責務だと考えインプットを意識しています。
そうしていれば、単純に知識不足でよく分かっていない点などを自ずと学ぶことにつながり、知識もついて一石二鳥です。
ただ、自分でも理解できてなかったり本当に知らないことを無理に理由をつけて、 「無理やり納得」させようとすることはしないようにもしています。シンプルですがとても大切だと思います。
「メンバーの方が気付く(気付いている)」 ということはごまんとあるので、質問されて分からなかったことは、
「あ、ごめんそれはわからないや、ちょっと聞いておくね」 だったり、 良い提案に対しては、 「確かにそうだね、その方向で提案してみようか」 と、素直になりましょう。
素直さは大事ですね。
1on1
これまで記載したことを実行していく上で1on1の場は大事だと考えており、定期的に実施しています。
過去の経験上、頻度は長い1回、より、細かく多めに、を心がけたほうが良いと思っています。
当時9人メンバーがいたグループマネジメントで、1名ずつの時間が非常に長くなってしまう(1.5hとか)傾向がありました。 約3週間に1度程度しか各メンバーと1on1できませんでしたが、それを毎週全員と30分、と決めて実施してみました。(その中で込み入った話になりそうな時は、別途時間を抑えたり) メンバーの感想は、適宜気軽に話ができるので、その方がいいという意見をもらいました。(わざわざ話しかけて聞くほどじゃないことや、些細な気になったことを聞ける、など)
私としても、早期になにかの芽を発見できるので良かったです。 シニア、ジュニア、メンバーのレベル問わずその方がいいという感覚です。
話す内容は相手や状況によって都度変えますが、大体以下のようなアウトラインで話しています。
初めての1on1、毎回、4半期に一回でそれぞれ聞くことを大きく分けたりもしています。
準備
- 一人ひとりのメモを用意
- 相手と共有できるように
- その場で唐突にだと話の種を思いつくことに時間を割いてしまうので、相手にも事前に書き込んでもらえるようにする
- 自分用のメモを用意するかしないかは、任意。
初めての相手に聞くこと
上に記載した「動機の源」を聞きます。 あと自己紹介しましょう。
毎回聞くこと
最近の調子
- 最近の仕事
- 最近ハマっていること
- 休みや帰った後の時間の使い方(ここは特に人による)
- 楽しかったこと
- 楽しくなかったこと
キャリアに対して
- 最近キャリアへ近づいている印象をもつか
- 成長している実感は?
- もっと成長を促進できる方法、サポートできることはないか
今の不安
- 今、不安なことはないか
- 今後不安になりそうなこと
上司、会社への要望(不満、というと出てこないことが多い)
- 私への改善点、してほしいこと
- 会社のここを良くしたいというところ
その他・気になったこと
- 今困っていることはあるか
4半期に1度ほど聞くこと
楽しかった仕事
- ここ三ヶ月で仕事が一番楽しかったのはいつか
- なぜそれがそんなに楽しかったのか
きつかった仕事
- ここ三ヶ月で仕事が一番辛かったのはいつか
- なぜそれがそんなに辛かったのか
印象的な出来事について
- ここ三ヶ月で一番心に残っている出来事は
- なぜそれほどまでに心に残ったのか
最後に
書いてみましたが、エンジニアのマネジメントに限った話ではないと思いましたが、もし役に立つ部分があれば幸いです。
色々と書いて長くなってしまいましたが、そんな事を意識しながら日々やっております! また、そんな事を意識しているマネージャーもたくさんいます!
現在、LIFULLでは仲間を募集しております! カジュアル面談も受付していますので興味ある方は是非ご参加ください!