お久しぶりです、Ltech運営チームの秀野です!
今回は、2020年10月29日(木)に開催した『Ltech#11 不動産領域のAI活用最前線 〜初完全リモート開催〜』についてレポートします!
Ltechとは
Ltech(エルテック)とは、LIFULLがお送りする、技術欲をFULLにするイベントです。特定の技術に偏らず、様々な技術の話を展開していく予定です。
今回はなんと、Ltech初のリモート開催です! インターネット万歳!!
不動産領域のAI活用最前線
記念すべき初リモート開催となる今回のテーマは、『不動産領域のAI活用最前線』です。LIFULLの社長直轄のAI部門であるAI戦略室のみなさんから、ディープな話をしてもらいました。
AI戦略室については、こちらの記事でも触れていますので是非ご覧ください。
それでは各発表のレポートです。
ディープラーニングで間取り図を3Dにする
最初の発表は、「空飛ぶホームズくん」の裏側で間取り図を3Dにするアルゴリズムについてのお話です。「空飛ぶホームズくん」は、3Dの街を移動しながら気になる部屋の中を見ることができる VR x AI のプロトタイプアプリです。
間取り図をディープラーニングを使ってセマンティック画像に変換し、そこからポリゴンデータを生成することで3D化していきます。
セマンティックセグメンテーションのタスクで工夫した点として、壁/ドアなどの線と部屋をわけて処理する点があります。また、部屋をグラフ構造で持っていたり、非常に面白い内容でした。
人の作った間取り図ですから、機械学習といえども人による地道な作業が必要なんですね。ドアのない部屋、不動産会社のロゴ入り画像、などなど色々あります…
余談ですが、長時間のアノテーション作業で身体を壊しそうだったけど、筋トレをしていたことで救われた話には感動しました!
住まい探しにおける対話AIの自然言語解析技術
続いて、自然言語による物件検索・地域検索を目指して開発している自然言語解析器についてのお話です。対話形式で物件を探すため、会話を検索条件に落とし込んでいきます。
形態素解析は行わず、シンプルに先頭から辞書を引いて解析しています。私もLIFULL HOME'Sのフリーワード検索で辞書を整備したことがありますが、画像解析の話と同じようにこちらも地道な作業が必要です。
結果を見てみると、ルールベースでもそれなりの結果が出ているようですね。
Q&Aでは、不動産関係のコーパスがないという話も出ていました。
LIFULL HOME'Sの住まいの窓口というサービスでの対話を使えないかと思いましたが、センシティブな内容が多いので使うのは難しそうだな…と思い直しました。
ガウス過程回帰を用いた広宣費予測と可視化
休憩を挟んで次の発表です。
マクロな視点で広宣費を月あたりどれくらいかければ、目標を達成できるのかを可視化するツールを作成したお話です。
今回の発表の中で、私が最も理解できなかった発表となります!難しいぶん詳細に発表して頂けました。ざっくり言うと予算とリターンを軸にした関数を知りたい、ということです。
時系列予測のタスクを解くため、ガウス過程を使った回帰モデルを使っています。
- ドメイン知識を入れ込みやすい
- 予測が分布で得られるので不確実性がわかる
- 過学習しない
と、いった特徴があるようです。
私はチンプンカンプンだったのですが、発表後のQ&Aでは参加者の方からたくさんの質問があがっており、アンケートの結果などからも満足頂けたようで良かったです。
Kubernetesを利用した機械学習モデルの本番適用例
大トリは、少し趣向を変えてインフラも交えたお話です。
LIFULLではKubernetesチームが開発・運用支援ツール「KEEL」を作ってくれています。そちらを活用しながら、物件の「おすすめ順」生成に機械学習を活用しました。
機械学習のモデルを運用する上で、最初の選択肢としてAWSのSageMakerを利用する方法もありますが、柔軟なAPIを提供するために前述の「KEEL」を利用しました。
物件の検索結果を「おすすめ順」でソートするために、事前推論でスコアを検索エンジンに取り込んでおきます。
検索エンジンへのデータ投入処理がこちらのAPIに依存している以上、大量のデータが投入された時の安定性が課題でしょうか。現在は、APIのスケールしきい値は小さめに、CPIリミットは大きめにすることで、負荷のバラつきにうまく対応しています。
アフタートーク
最後に、登壇者全員でざっくばらんにアフタートークをしました!
コロナ禍が予測に与えた影響のような時事的な話題や、AI戦略室を有効活用してもらうために事業部側とどのように付き合っていくのか、など組織的な課題も聞けました。
専門的な領域であるほど、その活用は難しくなっていきます。
「AIコンサルタント」という職種を用意することで、ビジネスとの橋渡し役を置くアイデアは、今後AIの民主化を進め事業を加速してくれるだろう、と感じました。
最後に
Ltech では、LIFULLエンジニアが中心となって皆様の技術欲を満たすよう実例を交えた勉強会を開催しています。
今後もLtechを積極的に開催していきますので、 ぜひ気になった方は、connpassでLIFULLのメンバー登録をよろしくお願いします!