LIFULL Creators Blog

LIFULL Creators Blogとは、株式会社LIFULLの社員が記事を共有するブログです。自分の役立つ経験や知識を広めることで世界をもっとFULLにしていきます。

学会イベント「DEIM 2025」参加報告

こんにちは、グループデータ本部データサイエンスグループの清田です。

昨年のDEIM 2024に引き続き、「第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(通称DEIM 2025)」に参加・登壇してきましたので、その様子を報告いたします。

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過去最大の開催規模

DEIM 2025は、2025年2月27日(木)から3月4日(火)にかけて開催されました。昨年に引き続き「直列ハイブリッド」形式を採用し、2月27日(木)から3月1日(土)までがZoom Eventsを用いたオンライン開催、3月3日(月)と4日(火)は福岡国際会議場でのオンサイト開催となりました。

現地会場の福岡国際会議場(福岡市博多区)

今回のDEIMは過去最大規模となる840名もの参加者を集め、データ工学および情報マネジメントに関する研究コミュニティの活況を示しました。429件の一般発表が行われ、そのうち口頭発表とポスターによるインタラクティブ発表の両方が行われたものが386件(うちデモ発表46件)、口頭発表のみが43件という構成でした。

生成AI・大規模言語モデル研究の盛況

昨年に引き続き、今年のDEIMでも生成AI、特に大規模言語モデル(LLM)の利用に関する多数の研究発表が行われていました。5つのトラック(「自然言語処理・機械学習基礎」、「ビッグデータ基盤技術・データセキュリティ・プライバシ」、「情報検索・情報推薦・ソーシャルメディア」、「メディア処理・HCI・人間中心情報マネジメント」、「高度なデータ利活用・ドメイン応用」)すべてにおいて、生成AIの活用事例や研究成果が報告されていました。

特に印象的だったのは、従来の自然言語処理や情報検索の技術がLLMによってどのように変革されつつあるかについての議論です。単にLLMを使うだけでなく、その特性を理解した上で従来技術と組み合わせる研究アプローチが多く見られました。

DEIMの参入障壁を下げる取り組み

今回私が参加して特に印象に残ったのは、兵庫県立大学の大島裕明先生が企画された「DEIMの参入障壁を下げるBoF」です。BoF(Birds of a Feather)セッションとは、同じ興味や関心を持つ参加者が集まって自由に議論する場で、今回はDEIMをより多くの人にとって参加しやすい学会にするためのアイデアが活発に交換されました。特に初めての参加者が楽しく参加できる仕掛けについてのディスカッションが非常に参考になりました。例えば、「初心者向けのオリエンテーションセッション」など、具体的かつ実現可能なアイデアが多く提案されていました。

学会は研究発表の場であると同時に、研究者同士のネットワーキングの場でもあります。特に学生や若手研究者にとって、参入障壁を下げる取り組みは非常に重要であり、DEIMコミュニティの今後の発展につながる貴重な議論だったと感じました。

LIFULLのスポンサー活動とデータセット提供

LIFULLは今回も、前回に引き続きゴールドスポンサーとして出展しました。DEIM 2025には、プラチナスポンサー7件、ゴールドスポンサー15件、シルバースポンサー2件という多くの企業・団体からの支援があり、産学連携の場としても機能していました。

私たちLIFULLからは、LIFULL HOME'Sデータセットの2015年11月の提供開始からの利用実績の分析結果を技術報告として発表しました。現在までに170件を超える研究成果が発表されており、学術研究コミュニティへの貢献が着実に実を結んでいることを報告できました。

また、新たなデータセットの提供を予定していることについても告知しました。AIや情報処理に関する研究は、多くの研究者がアクセスできる共有データ資源の存在に支えられて発展してきました。生成AI技術の隆盛により、「データを独占的に保有すること自体が巨大な利益につながる」という状況も生まれている中で、オープンなデータ資源の提供は今後も重要な役割を担っていくと考えています。

今後の展開:新たなデータセット提供に向けて

現在、私たちLIFULLでは新たなデータセットの提供開始に向けて準備を進めています。このデータセットは、これまでの不動産情報に加えて、より多様な分野の研究に活用できる内容となる予定です。

生成AIの発展や社会実装が急速に進む中、高品質なデータセットの価値はますます高まっています。LIFULLは今後も、研究コミュニティへの貢献を通じて、社会課題の解決に向けた技術開発を支援してまいります。

来年のDEIM 2026でも、より多くの研究者との交流を深め、データ工学や情報マネジメントの分野の発展に寄与していきたいと考えています。

おわりに

DEIM 2025は、オンラインとオンサイト、それぞれの利点を活かした運営により、全国各地からの参加が可能となり、多様な立場の参加者による有意義な議論が展開されました。

LIFULLでは、今後も学会イベントのサポートを継続するとともに、データサイエンスやAI技術を活用した社会課題解決に取り組む仲間を募集しています。豊富な研究開発資源を活かしながら、多様な社会課題の解決に向けた研究開発やプロダクト創出に一緒に取り組んでみませんか?

データサイエンスグループでは「活用価値のあるデータを創出」し「データを活用した新たな機能やサービスの研究開発」を加速してくださるデータサイエンティスト(R&D)を募集しています。

興味を持っていただけた方は、カジュアル面談も行っていますのでお気軽にご連絡ください。

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