LIFULL Creators Blog

LIFULL Creators Blogとは、株式会社LIFULLの社員が記事を共有するブログです。自分の役立つ経験や知識を広めることで世界をもっとFULLにしていきます。

WWDC2016キーノートまで長い道のり

Apple原理主義者の大坪です。人は思いがけない出来事に直面すると、その理由を探さずにはいられない。お財布を落としてしまった!なぜだろう?きっと今朝黒猫印をつけた車が私の前を横切ったのがいけなかったのだ、とかなんとか。

いきなり何を書いているかといえばあれですよ。年に一度行われるAppleの開発者向け会議WWDCのチケットが当たったんですよ。いや、大丈夫。ちゃんと理解してます。これは奇跡でもなんでもなくarc4random_uniform関数*1がたまたま「参加」の値を返しただけ、と。しかしこれは私の常軌を逸したAppleへの愛がなせる技ではなかろうか、と頭の片隅で考えているのも事実。

などと

のんきなことを言っている場合ではありません。わーいわーいと喜んでいいのは30秒ほど。早く正気に帰りあれこれの手配をしなくてはなりません。

まずはホテルと航空券の手配。毎年驚かされるのはSan Fransiscoエリアでの宿泊代の高騰ぶり。おまけに少しでも宿泊場所確保に出遅れるとあっというまに満室の嵐になる。

「予算内の場所はないか」と血眼になってあちこちのサイトを探し「あったー」と思ったら予約ボタンを押す前にこちらの情報などを確認しましょう。安くてしかも空室があるホテルがこうしたエリアに存在している確率は悲しくなるほど高い。

そうした壁を乗り越え、宿と足を確保すると、今度は情報収集を始める。去年は現地で前夜に、今年は日本で一週間前に参加者同士の飲み会が行われました。主催者の方には感謝の他ありません。そこで必ず話題になるのが

 

「初日のキーノート何時から並ぶ?」

 

2013年に参加した時は、迂闊にも寝過ごしてしまい並び始めたのは7時過ぎ。それでも特に不満のない場所に座れた。話のネタ的に真夜中から並ぶという選択肢もありますが、そんなに無理しなくていいのではないか。そもそも列のものすごく前に並べたところでどうせ会場内最前列のエリアは全て「予約済み」だから座れないし。あまり遅く行くと"Overflow Room"なるビデオ中継でしかキーノートを見られない部屋に回されるらしいけど、それさえ回避できれば。  

しかし  

そこに立ちはだかるのが時差ボケ。長旅で疲れよれよれとベッドにはいったはずなのに、真夜中にパッチリ目が覚める。まだ数時間は眠れると毛布をかぶっても目は冴える一方。諦めてMacBookなど叩いていると

「並ばなくていいのか」

という強迫観念が迫ってくる。San Fransiscoくんだりまで来て、2chなんか見ている場合か。いや、まだ夜明けまでは時間がある。とはいって眠くはないし、やることもない。そうしているうち「ええい、行ってしまえ」とホテルを飛び出す。そして氷のような寒さ*2の中長い長い行列に立ち尽くし、己の判断の愚かさに呪いの言葉を吐く。

f:id:nextdeveloper:20150608043502j:plain これは去年の写真。ちなみに時間は午前4時半    

というのが去年私に起こったこと。今年はもうそんなことはしないもんね、と固く決意するわけでした。これにはもう一つ理由があり、今年は初日の場所が例年とは変わっています。去年まではイベント全日Moscone Westで行われたのですが、今年は初日のみBill Graham Civic Auditorium。いいニュースはおそらく収容人数がMoscone Westより多いこと。悪いニュースは辺りの治安があまりよろしくないこと。以前別の出張で来た時、明るい時間帯なのにいろいろな人が周りにたむろしていたことを思い出す。あそこに暗いうちから数時間立っているのが良い選択肢だろうか?いや違う。というわけでWWDC(及び周辺イベント)に参加する人たちの間でも「明るくなってから移動が良いよね」ということで意見が一致する。

そのようにちゃんとあれこれ考えていたので f:id:nextdeveloper:20160614224608j:plain

「あーよく寝た」とパッチリ目が覚め、ふと見た枕元の時計がこんな表示をしていても驚かない。ここでやるべきことは静かに目を閉じ布団をかぶって心から雑念を追い払うこと。

今日のKeynoteではどんな発表があるか?とか考えてはいけない。

どんなサプライズがあるだろうか?とか考えてはいけない。

あまり可能性はないとはいえ、MacBookが発表されないだろうか?とか考えてはいけない。

使っているMacBookAirもう六年目。そろそろ買い換えないと、とか考えてはいけない。

....

目覚ましの音で飛び起きれば午前6時。なんとすばらしい。時差ぼけに打ち勝ち眠れたではないか、 と勝利の喜びにひたりながらFacebookを見る。するともう並んでいる人がいるのに気がつく。そうか。並んでいる場所はセキュリティがちゃんとしているのか、、、とか考えながらふと気がつけば猛然と出かける支度をしている。ちょっとまて。俺は昨日ホテルを7時に出ると決めたのだ、と自分に言い聞かせているうち準備万端になってしまう。いいや、もう出ちゃおう。

WWDC参加者にはRegistration時ジャケットが配られます。ここ数年ジャケットのデザインにはパターンがあり、黒一色で背中にその年の下二桁が書かれている。朝の街を会場に向かって歩いて行くと、背中に「16」と書かれたジャケットを着た人をちらほら見かける。会場が近づくにつれ、目に入る「16」の数が増えていく。

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こんだけ参加者がいれば、きっと怪しい人に絡まれる危険性は少ないだろう、と根拠のないことを考えながら歩き続ける。そのうち会場が見えてきました。

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列に並ぶ時点でSecurityの人にバッジを見せます。列の近くにはあまーいマフィンの類とコーヒーも用意されている。ぱくぱく食べたいところですが、調子にのって飲みすぎトイレに行きたくなっても困る。ぐっとこらえて少しだけとります。

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それから会場に入ることができた午前9時まで延々この光景を目にすることになる。しかしそうした時間にも見るべきもの、考えるべきことは存在している。私にとっては寒いとしか思えない状況。しかしなぜ前に立っているお兄さんはTシャツ短パンでへらへら笑っているのだ。周りからは様々な言葉が聞こえます。日本語、英語、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、そして私が知らない言葉。皆これから始まるキーノート、そしてWWDCを心から楽しみにしている。

そんなことを考えんながらぼんやり建物を見る。そしてあることに気がつく。上の写真をみて「?」と思いませんか?その理由がわかったのはキーノートを聞き、そしてこの日の夕方にある光景を目にしてから。

 


 

7月1日に弊社でWWDC2016共有会を開催いたします。

connpass.com

ゲストスピーカーの岸川さんも含めライトニングトークでどんなお話が聞けるのか。懇親会で皆さんとどんなお話ができるのか今からワクワクしております。私も登壇させていただきますので、皆さんの貴重な時間を無駄にしないよう、今から頭を悩ませております。

もしご興味をお持ちでしたら、ぜひご登録ください。

*1:iOSで乱数を返してくれる関数です。

*2:”私が経験したもっとも寒い冬はサンフランシスコの夏だった。” といはマーク・トゥエインの言葉