LIFULL Creators Blog

LIFULL Creators Blogとは、株式会社LIFULLの社員が記事を共有するブログです。自分の役立つ経験や知識を広めることで世界をもっとFULLにしていきます。

デザイナーの放課後 #3 「デザイナーが語る『ブランディング』の現場」開催レポート!

こんにちは、LIFULLでデザイナーをしております池上あかねです。 本日は、8/7(火)に弊社にて開催された、LIFULLのデザイナーが主催する勉強会&交流会「デザイナーの放課後」第3回の模様についてレポートいたします!

デザイナーの放課後とは

デザイナーの放課後 #3 「デザイナーが語る『ブランディング』の現場」

「デザイナーの放課後」は、LIFULL社内で開催されていたデザイナー・フロントエンドエンジニアがお互いのナレッジを共有し合う会を母体に、「LIFULLを外部の方に向けて発信し、来ていただいた方にも交流の場となるように」という思いをこめて立ち上げられたイベントです。おかげさまでこのイベントも第3回目の開催となりました!(パチパチ)

いままでの開催レポートはこちら

#3「デザイナーが語る『ブランディング』の現場」

第3回目の開催テーマは「デザイナーが語る『ブランディング』の現場」です。

LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をビジョンに掲げ、 本社移転・社名変更などのリブランディングをおこなってから2018年4月で1周年を迎えました。 LIFULL FLOWERをはじめとする様々な新規事業において、 これまで以上にデザイナーが「ブランディング」に携わる機会が増えてきているため、 外部の方のお話を聞きながら、あらためて考えてみる機会としてはどうかという流れから、 このテーマを取り上げることになりました。司会は新卒2年目であるLIFULLのデザイナー、木下香菜が務めました。

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デザイナーが携わる領域の中でも事業全体や自社製品の核となる「ブランド」をつくっていく、 そんなとても大きなテーマですが、 ChatWork株式会社さんと株式会社サイバーエージェントさんを迎えてお話をしていただきました!

デザインによる付加価値の乗算。新規事業「LIFULL FLOWER」リブランディング

まずはLIFULLのシニアデザイナー 田中忍から、 新規事業のLIFULL FLOWERについて1からブランドをどう立ち上げたか、 どのようにブランディングに携わっているかについて話してもらいました。

「開けた瞬間花瓶になる、旬の定期便」

LIFULL FLOWERは2018年2月にスタートした、お花のサブスクリプション(定額制)サービスです。 毎月、自宅や職場など指定した場所に季節を感じられる違う種類のお花が届き、パッケージを開けたらそのまま飾ることができて、水換えも不要でお花を楽しむことができます。

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事業の発端は、生花の流通の問題を解決することから始まりました。 事業立案者が花農家の出身で、「なんとか生花業界の問題を解決したい」というところから、 まずは生花の流通モデルを再構築し、WEB発注・サブスクリプションで流通するサービスとしてスタートさせました。

しかし、これだけで果たしてユーザーにとっての価値になっているのでしょうか。 業界課題を解決できるビジネスモデルを、さらに消費者にとって価値のあるものにしたい。そのためにリブランディングを行うことになりました。

どのようにリブランディングをしているか

一番重要なのは、「ターゲットとビジネスモデルを掛け算すること。ターゲットが最もうれしいものを探し、強いコンセプトをたてること」と、田中は語ります。

LIFULL FLOWERのリブランディングは「FAST&FRESH」というコンセプトを打ち立てるところから始まっています。 まず、お花を楽しむ習慣のない人にターゲットを絞り、その人たちがお花を買わない理由のなかにあった「面倒くさい」という言葉に着目。 次に、WEB上で注文したら花が届く手軽さを「FAST」、市場から鮮度が保たれている花が毎月直送されてくる側面を「FRESH」という言葉に変換し、「FAST&FRESH」という全体を通貫するコンセプトとして明確に定め、このコンセプトを元にプロモーションや商品のパッケージなどをデザイン。最後に、ユーザーの利点を「STYLISH/EASY/SMART」に分解、「FAST&FRESH」と合わせて4点の訴求点に整理し、コミュニケーションに落としたそうです。

デザイナーの役割

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普通の人の感覚を持ち、普通の人が自分たちのビジネスをどういう風に思うかを意識して、デザインに落としていくこと。それが「ブランド」になっていく。いいデザイン・いいブランドを作るために、たくさんスケッチをして、たくさん出し惜しみをせずにアイディアを出していくことが、ブランディングにおけるデザイナーの役割として大事だ、と田中は結びました。

この「出し惜しみをせずに」というのが日々の業務の中でもなかなか難しいなと感じてしまうのですが、LTの中でも「これはコンセプトからブレるのでボツになりました」とボツになったアイディアも紹介されていたり、1からブランディングを考えるうえでのポイントだけでなく、デザイナーが携わっていくあらゆることへのヒントがたくさん詰まったLTでした。

ChatWorkという組織をデザインする部署の仕事

続いて、ChatWork株式会社のデザイナー 守谷絵美さんから、組織文化のブランディングという視点と組織が大きくなっていくなかで文化の共有をどのようにしているかについてお話しいただきました。

ChatWorkについて

ChatWorkは、チャットで仕事ができるビジネスコミュニケーションツールとして、世界中で185,000社(※イベント開催時点)が導入しているサービスです。 自社で培った働き方のノウハウをプロダクトに反映していこう、ということがサービスの始まりでした。 守谷さんが所属するデザイン部は、プロダクトのUIデザインをはじめとした会社全体の様々なデザイン領域に携わっているそうです。

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事業=会社という形で、今までは組織も少数精鋭で1社につき1クラス分という人数でやってきており、一人の社長が目に届く人数におさまっていました。 小さい組織の時は組織の体制・雰囲気がそのままブランドとして現れてくるので、自然と全員が同じ認識をもっていることができました。 しかし、事業拡大に伴って開発体制の強化を進めており、これからどんどん組織が拡大していくことを見越していくと、今度は新しく入ってくる人にはその雰囲気がわからなかったりします。

「ChatWorkでは唯一、デザイン部が社内のすべての部署・職域にはたらきかけることができる部署なので、今度は、社内の人たちにどうやってブランドを共有していくかがデザイナーの役割になっていきました。」と守谷さん。

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組織とチームの拡大に向けて

組織の文化を反映したり継承した概念を全社に伝えていくにあたって、特にチームビルディングの重要性が大きく関わっているそうです。 チームビルディングを通じて、まず心理的安全性を構築したうえで、全社にサブリミナル効果でデザイン思想やミッションを伝播させていく。 そうすることで、新しく入ってきた人にも、他部署から外部のデザイナーさんに依頼する仕事に対しても、明文化された内容がより伝わりやすくなり、組織とチームの拡大にもブレないように対応していくことができるということでした。

会社をブランディングしていくこと

他にも、デザイナーが組織やチームの規模にあわせて会社の動きを変えていった例として、 移転された社屋ではデザイナーからリノベーションの企画を持ち込み、オフィスを「社内の文化に基づいたデザイン」にするためのデザインプロジェクトが始まったそうです。

コミュニケーションの場所として、みんなが社内で気軽に飲み会などいろんな集まりができるようにとバーカウンターを設置したり、社内に部活があるほど映画好きなメンバーが多いことから一番広い会議室をシアタールームとして使えるようにしてしまうなど、オフィスに社内の文化が現れるよう自分たちの手でもDIYしてつくりあげていったそうです。なんと、オフィスデザインの際にはLIFULLの社屋も参考にしていただいたそうです、ありがとうございます!

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週に1回みんなでランチをして雑談したり、堅苦しい部署定例でもおやつを持ち込んでわいわいやってみるとか、コミュニケーションがしやすい環境づくりというのを、デザイナーが主体となってつくっていることに驚きました。 もちろんチャットで「このデザインどうかな?」など気軽に相談もできたり、心理的安全性のある組織になっていることが、ChatWorkさんの社内の風通しの良さ、雰囲気の良さに繋がっているのだなというのが伝わってくるLTでした。写真で紹介されたオフィスが素敵だったので、ぜひ遊びにいってみたいです!

[   ]なマスメディアを目指す。AbemaTVのブランディングとデザイン

最後に、株式会社サイバーエージェントのアートディレクター 前澤拓馬さんから、AbemaTVをどのように知ってもらいブランドを育てていくかについてお話しいただきました。

AbemaTVはまだ2歳半

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AbemaTVの大きな目標として「マスメディアをつくる」。 そのために、今回のタイトルにある[   ]の部分に入る言葉が強みや得意分野になって、「ブランド」と言えるものになってくるのですが、AbemaTVはそれが「まだない」状態。

AbemaTVはサービスを開始して年齢にしたら2歳半。 マスメディアになるという大きな目標に向けて、まだ特定のものに絞りきらず、AbemaTVの強みになる可能性があるものをどんどん試して広げて行っているところとのこと。

どのようにブランディングをするか

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一般的なブランディングのステップとしては

  1. 知ってもらう
  2. 好きになってもらう
  3. 信頼してもらう

が基本であり「3つ目のステップまできて、はじめてブランディングとして成功しているんじゃないかと思っています。」と、前澤さん。

知ってもらうという認知のところでは、まず自分が何者か知ってもらう必要があり、そのあとにどういうサービスか、AbemaTVの場合はインターネットTVである、無料であるというポイントが重要になります。

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そのため、はじめに出した広告では情報を最小限に「Abemaくん」「無料で楽しめるインターネットテレビ局」というシンプルな内容で打ち出し、街のあちこちで展開していきました。 その後にタレントさんを起用した広告を出し、サービスにメジャー感を印象づけていったそうです。

少し変化球のような事例では新聞の折り込み広告も出していて、AbemaTVで実際に放映する番組をテレビ欄形式で表現したクリエイティブの広告にすることで、手にとった方に「なんだこれ、いつものTVとは違うのかな?」というインパクトを与えることができたということでした。

コンテンツの良さを伝え、育てていく

知ってもらうことができてくると、今度はアピールするだけではなく「コンテンツの良さを伝える」ことに集中する方にシフトしていきます。 AbemaTVは従来のTVっぽいイメージのアートワークとは異なる、AbemaTVらしいビジュアル作りに注力しています。また、様々な番組を企画する中で「恋愛リアリティショー」のような人気ジャンルが生まれています。現在は、曜日や時間によって番組をグルーピングしていく、というような番組のコンテンツを印象づけするための流れを作ることもしているそうです。

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「『ブランディング』というのは、成熟した企業やサービスにおいてはサービスが持つ要素の見え方自体がブランディングというか、どういう企業やサービスにしたいかによって見え方が変わってきますが、AbemaTVの場合、それぞれの要素がまだ小さい状態。なので、その中で強みになる要素を見つけ、大きく育てることがブランディングになってきます。なので、あらかじめどういう形にするかを決めすぎず、可能性があるものをどんどん伸ばしていく。それが自然と面白い形になっていったりっていうのがあるので、そこを育て、強みを作っていく、というのが我々のミッションであり、考えていくところだと思っています。」と、前澤さん。

LTを通じて、サービスを成長させていくためのブランディングとして現在のステップを見極めた適切なプロモーションをされているというのが印象的でした。これからAbemaTVがどのように成長して、どんなマスメディアになっていくのか、ワクワクします!

ディスカッション

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ここから司会をLIFULLの事業開発グループ 對馬政隆にかわり、ディスカッションへと移りました。この時間では、今回はconnpassを通じて事前に来場者のみなさまからいただいた質問を素材に、登壇者にお話をしていただきました。 ブランディングを推進するために大事にしていることや、ブランディングをやっているなかでの失敗例など、やはり「どのようにブランディングをしているのか」についての質問がとても多かったです。

中でも「効果測定をどのようにしたらいいか」という質問がとても多く、それに対しての回答では、

「定量的な判断というのは難しく、成功したかどうかは測りづらい。だからこそブランディングというところに、企業のトップだったり優秀なクリエイターが関わって、先にあるイメージを強くもって、ぶれないようにやっていくこと。」

簡単に測ることはできないものと思って、ビジョンに対してぶれることなく、絶対に成功させる!という気持ちでやっていくことの方が大事だということでした。戦略やそれに対する効果測定はもちろん大切ですが、その先の世界を見据えて道をつくり続けていくことがデザイナーができることとして重要だとあらためて感じました。

また、ChatWorkさんがコミュニケーションをテーマにLTしていたこともあり、会場からは組織づくりのお悩みや社内への情報共有で困ったことなども質問にあがっていました。

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最後に

当日はなんとか台風の直撃は免れましたが、雨だったにも関わらず40名にご来場いただき、ありがとうございました! 私は「デザイナーの放課後」の1回目からスタッフとして参加しておりますが、このイベントも少しずつ成長して、小さな「ブランド」のような形になっているかな? と、お話を聞いていて感じることができました。

目標としている「放課後のような交流の場」というだけでなく、特にスキル的なものにフォーカスしすぎない、広くナレッジの共有ができる、そういったところがこのイベントの個性として徐々に現れてきているのかな、と感じています。

以上、デザイナーの放課後#3開催レポートでした!

LIFULLではLIFULL FLOWERをはじめとした様々な事業において、共により良いサービスをつくっていく仲間を募集しております!エントリーお待ちしております。 recruit.lifull.com

また、次回の開催情報もこちらのconnpassページでお知らせいたします。他にもLIFULLのデザイナーやエンジニアが開催するイベントがたくさんありますので、ぜひチェックしてくださいね!